(2020.6.03 修正)
世の中も教育界も不安感で溢れている
教師の仕事はブラック企業だ。とか
子ども達も保護者も対応がますます大変になってきた。とか
大量退職&大量新採用で学校現場は疲れ切っている。とか
不登校、ひきこもりをなんとかしなくちゃいけない。とか
AIの登場によって、今後の仕事の半分くらいはなくなる。とか
そんな不安感は、ちょっと探せばいくらでも出てきます。
昔は良かったな~みたいな感じですか。
確かに、そういう一面もあるでしょうけれども、本当に大変な時代なのでしょうか。話が膨らみすぎるので、教育界だけに限定して考えてみます。
教育界はどう見ても良くなっている
・教師の仕事はブラック企業だってことが騒がれてきたので、勤務態勢や仕事内容がやや緩やかになりつつあります。
・少し前まで、何故か公務員は給料をもらいすぎだみたいな風潮があって、給料カットされていましたが、経済が回らないってことに気付いたのか、終わりました。
・昔は月曜日~土曜日まで勤務でしたが、すっかり週休2日が定着し、毎週2日間もお休みがあります。
・中学校では、部活動の大変さに世の中の目が行き始め、部活動に取り組んでくれている先生方は「ありがたい」ということに気付きはじめました。
・学校の先生は聖職なのか、ただの職業なのかということは、ただの職業だという傾向にありつつあり、教師は気持ちが楽になってきました。
・初任者から無茶な仕事を与えられることが少なくなりました。というか、やらせてもらえません。
・教職員のストレスチェックみたいなのを行政主導でやってくれます。
・子ども達にとっては、昔いたような超怖い先生はいなくなってきました。
・給食、美味しいです。
・授業が昔よりも上手ということは言えませんが、少なくても下手なままで良いと考える先生はほとんどいません。
・遊び道具、教材器具など、設備が充実しています。
・へき地では、スクールバスが整備され、しかも無料で使えます。
探せばまだまだあります。書いてみると、たくさんありすぎますね。たくさんありすぎるので、考えてみると楽しいかもしれませんね。
不安感はどこからやってくるか
これだけ恵まれた豊かな世の中なのに、なぜ不安なのでしょうか。今度は逆に、不安の原因とされているものについていくつか書いてみます。
・新採用者が増え、現場での教育活動が低下するのではないか。
・うつや引きこもりなど、精神疾患をわずらう先生も増えるのではないか。
・子どもや保護者が変わり、昔よりも先生方の心労がひどいからではないか。
・だから、教師という職業は人気がなく、ますます人材不足になるのではないか。
・子ども達は、ますます多くの問題(いじめや不登校等々)を抱えるようになるのではないか。
これも探せばいくらでも出てきます。でも、よくよく出てきた項目を眺めると、出てきている場所が見えます。それは、今の不安感は、ほとんどすべて心の問題だということです。
多くの人たちが物質的な豊かさを求めてきました。そして、良くなった時代で羅列しましたが、ほとんどそろいました。つまり、目標とした豊かさを概ね達成したということです。教育界に限らず、どの分野においても、日本全体を見渡せば概ね達成です。
いや、うちはお給料が少なくて、貧困だ!と言われるかも知れませんが、飢え死にすることは、まあないでしょう。仕事がないっていったって、全体を見渡せば人手不足です。社会保障制度も整備され、最低限ではあっても、国民は守られています。そんな国は、世界196カ国(たぶん)の中でも日本はずば抜けています。
良い時代になった
たくさんの不安感は、現実社会にはあって、やっぱり不安かもしれません。でも、私が言いたいのは、豊かさというものをほぼ手にしたとき、もう、不安の原因を豊かさを求めることに押しつけられなくなってきたということなんです。今でも、「もっと豊かに!」ということを基本路線としてはいますが、ちょっと違うのではないかなと考え始めている人が増えてきたような気がします。
それが、引きこもりの増加などに現れています。
物質的には、ほぼ全てを実現したから、ようやく本当の問題が見え始めているというのが私の主張です。だから、かつて無いほど、物質への不安がなくなりつつあるからこそ、本当の問題に取り組める環境が整ってきているということです。
良い時代になったのに不安感たっぷりではなく、良い時代になったから不安感たっぷりなのでしょう。