Nayunayu先生 ~愛のある教室~

現場教師の21年間の実践理論

コミュニケーションスキル① 「会話」

コミュニケーション・スキル

(2020.6.17  加筆・修正)
 ある若手教員が、高学年女子の対応に困っていました。その若手教員は、容姿もいいし、紳士的だし、特別授業が下手ということもないし、男性として魅力がないということはありません。それならば、高学年女子の対応に困ることも無いはずですが、実際は困っていました。

 

 具体的な話を聞くと、どうも自分は女子達から嫌われているようだと言うのです。しかし、嫌われる要素がないなら、嫌われてはいないでしょう。むしろ、好かれていると考えて良いのでは?と進言しますが、なかなか受け取ってはくれません。その結果、若手教員の表情が暗いという現象は起きています。 

 

 まあ、相談を受けたので、高学年女子を制するための極意を伝授します。

「高学年女子は、話を聞くことだよ」と。

※記事「女子を制する者は高学年を制する」参照 

 

高学年女子は、話を聞くことが重要 

 ところが「話は聞いているんですけどね。」と反論します。「そもそも、話を聞こうとするんですが、逃げていきます。」と言うのです。 

 でも、私の知る限り、その先生のことを嫌っていると言っている女子は、その若手教員の近くにいます。本当に嫌いならば、離れていくでしょう。

 

ここで整理しましょう。

1 高学年女子は、話を聞くと心を開く・・・これは本当です。

2 若手教員は、魅力がある。・・・普通に考えればモテます。

3 若手教員には、思い当たる落ち度はない。・・・同感です。

4 若手教員のそばに、女子はいる。・・・だから好かれているって。

5 話を聞こうとすると逃げていく。・・・かまってほしいのでしょうね。

6 でも、何度かは話をしている。・・・嬉しかったでしょう。

7 若手教員は、現状では表情が暗い。・・・仕方ないね。

 

 状況を整理してみれば、担任教師にできることは、その先生自身の認識を変えていくということになります。7番の表情が暗い意外には問題はないのですから。

 

コミュニケーションスキル 会話術

 上記の内容で、まず目につくのは、その若手教員の表情が暗いということです。自分には落ち度がないはずなのに、うまくいかない・・・ということは、自分はダメな教員だという思考になるのは分かります。ということで、認識を変えてもらいます。

 

「あんねー、君は好かれているんだよ。だって、女の子達は側にいるんだから。まず、それを信じてね。それから、今、その女子達が文句を言ってみたり、そっけない態度をとったり、やる気が無かったりするのは、君のせいではないんだよ。元々そうだったということで、むしろ、そういう自分を出せていると思っていいよ。」

 

 これを何回か伝えましたが、本当に理解するのには1ヶ月ぐらいかかりました。でも、なんとかクリアして、若手教員の表情は明るくなりました。

 

 さて、もう一つ、クリアしておいた方が良さそうな問題があります。それは、【話を聞くと心を開くのに、話しても心を開かなかった。】という現象です。

 

 おかしいですね。本当に話を聞いているなら、そんなことは起こらないですから。おそらく、会話そのものに何かしら原因があるのでしょう。そこで、側にいた女性教員と会話のロールプレイをしてもらいました。テーマは何でも良いので、とりあえず「好きな食べ物」にしました。若手教員をA 女性教員をBとして再現します。 

 

〈テイク1〉

A「B先生は、どんな食べ物が好きなんですか?」

B「焼き肉ですね。」

A「そうですか。僕は・・・。」

私「ストーップ!!」

 

 なんということでしょう。会話の2クール目で自分の話を始めました。いいですか? 話を聞くのです。やはり、聞けていなかったのです。

 

〈テイク2〉

A「B先生は、どんな食べ物が好きなんですか?」

B「(半笑いで)焼き肉です。」

A「へー、そうなんですか。焼き肉で何の肉が好きなんですか?」

B「ガツですね。」

A「・・・ガツですか。(沈黙後)ガツって、こりこりして美味しいですよね。」

B「そうですね。」

A「ガツって、牛ですか、豚ですか?」

B「ちょっと分からないですけど。」

A「そうですよね。どこの部位の肉なんですかね?」

私「・・・・・ちょっとストップしようか。」

 

 B先生に感想を言ってもらいました。

「なんか、この会話、私じゃなくてもいいんじゃないかなって。」

 

 そうなんです。この会話だと、B先生に興味があるのではなく、ただガツに興味がある人になっちゃってます。あくまで、相手に興味を持って聞かないといけません。好きな食べ物も、ガツも、話の入り口に過ぎないのです。でも、テイク1よりは進歩です。

 

〈テイク3〉

 省略しますが、ようやく、焼き肉を入り口として、相手のことに興味がありますよーっていう会話ができるようになりました。話はよく行くお店とか、どれぐらいの頻度で行くのかとか、そんなに焼き肉が大好きな人にはには見えませんねみ! たいな感じで終わりました。

 

 B先生に感想を言ってもらいました。

「私に興味を持ってもらっているって感じで、いいと思います。」

 合格です。 

 

 

今回のお話のまとめ 

 これは、今年の5月とか6月のお話です。今、その若手教員の表情はとても良いです。その苦手だと思い込んでいる女子には、まだ苦労しているようですが、前よりは気楽に考えているようだし、先生自身が元気なので大丈夫でしょう。

 苦労させられる女子たちは、やや絶望病ですから、違ったアプローチが必要です。絶望病は、先生のせいではなくて、もともとそういう状態だったのですから。 

 コミュニケーション・スキルの1つである「会話」ですが、「会話をしている」と「会話できている」には大きな開きがあるということを実感した出来事でした。

 会話とは、コミュニケーションを発生させる道具に過ぎません。過ぎないのだけれども、入り口に過ぎないのだけれども、それがなくてはコミュニケーションそのものが発生しないので、とても重要です。

 会話を成立させる会話術の最大のポイントは、相手に興味を持つということではないでしょうか。自分を分かってもらいたいといことではなく、相手を知りたいが入り口になるはずです。