Nayunayu先生 ~愛のある教室~

現場教師の24年間の実践理論

「不登校」と「ひきこもり」  第1回 ~現状を把握する作業~

不登校の現状

「2018年の不登校(小中学校を30日以上欠席した児童・生徒のこと)の数は16万4千人を越え、98年度以降で最多となった」という朝日新聞の記事を読みました。

 

 そろそろ、この不登校に関する本当のことを書こうと思ってはいるのですが、説明しきるには相当の労力が必要だと容易に想像できるので、ずっと先延ばしにしています。

 つまり、相当ややこしいのです。

 なぜ起こるのか、どうすれば回復するのか、サポートできることな何なのか、手順をどうするのか、なぜその手順が重要なのか、などなど、どれも説明するには膨大な時間がかかります。まして、理解するともなると途方もない作業です。例え理解したとしても、それを実践するには、もっと膨大な作業が待っています。

 結局のところ「極めて困難」ということに落ち着きます。

 でも、不可能ではありません。

 直接面談して、直接サポートしても、最低3ヶ月はかかるこの作業を説明していくのは相当難しいのですが、私なりの応援はそれぐらいしかできないので、少しずつ説明することに挑戦することにします。

 

現状を把握する

 今回の記事は現状把握だけで終わります。ご了承ください。

 

 不登校者数は、16万4千人以上とありますが、これは小学校と中学校の総数です。 高校は含まれていません。高校生を含めると、約19万人ほどになります。統計上は、「高校生の不登校は減少傾向」とありますが、全く違います。

 そんなことは起こりません。

 「ひきこもり」は61万人で、年々増加傾向にあるのに、高校生だけが減少するというのはあまりにも不自然なので、すぐに分かります。

 では、なぜ減少しているように見えるのかというと、義務教育ではないというのが一番の理由です。高校教師の知人に聞いたところ、登校できるように支援したいのだけれども、退学してしまうそうです。退学になれば、不登校扱いになりません。代わりに「ひきこもり」扱いになります。

 ですから、不登校者数は、おおよそ20万人と考えてよいでしょう。

 これは実数です。予備軍もいます。

 おそらく3倍ぐらい。つまり、60万人です。

 

「ひきもこり」は61万人という統計ですが、統計上ということなので、本当はもっといますし、予備軍は約3倍でしょう。私の感覚では200万人ぐらい。

 

 あわせると260万人となります。

 そして、その数は増加傾向を維持しています。

 増加といってもただの増加ではありません。

 少子化+不登校の増加ですから、パーセンテージは実数よりも大きく増加を示しています。しかも、先進国の中で日本は突出しています。

 まずは、数を知っておくことが大切でしょう。

 数は社会を反映していますから。

 そして、日本という社会が拍車をかけているという事実にも目を向けなければ原因の理解が遠のきます。

 

 新聞の記事によると、「民間のフリースクールなど、子どもの事情に応じた多様な学びの場を用意することの大切さが確認された」そうです。

 私は、フリースクールは有効策ではあるでしょうけれど、本当の回復にはならないと考えています。あくまで一時避難としての場所だと。フリースクールに行けば出席扱いとなりますから、見た目の不登校者数は減ります。私はフリースクールを増やすということに反対はしませんが、根本からの回復にはなっていないという考えです。

 

 こういうことを書いちゃうと、批難されそうですが、本当だから仕方ないのです。私はフリースクールを批判していません。ただ、根本的な回復とは違いますと言っているだけです。そして、それを認めないことには先には進めないと言っているのです。

 

「不登校」「ひきこもり」というのは、きれいごとでは説明しきれないのです。

 

 私は「不登校」と「ひきこもり」は本質的に同じだという結論に至っています。

 ですから、その両者は置かれた環境は違いますが、本質的に回復するための方策は同じということになります。でも、環境が違いますから、サポートの差がどうしても出てきます。そして、どちらも相当難しいですが、「不登校」の方がやや回復しやすいです。「ひきこもり」は10年、20年の世界ですから。

 つまり「不登校」の間にどれぐらいアプローチできるかが重要です。

 そのために、本当の事を認める必要が・・・。

 かなり痛いのですが、必要な痛みだと理解してもらうしかありません。

 

 

 これも新聞記事で読んだのですが、

「8050問題 7040問題」というのがあるようです。

「8020運動」というのは、歯に関する運動ですが、そんなかわいらしい問題ではないのです。

 80歳の親と50歳の子ども。

 70歳の親と40歳の子ども。

「ひきこもり」のことを示す言葉です。

「不登校」と「ひきこもり」は直結しています。

たとえ、「不登校」ではなかったのに「ひきこもり」になったと言う場合にも、やっぱり直結しています。予備軍としてすでに存在しているという事実を認めなければ、「ひきこもり」も理解することはできません。

 

まとめ

 今回の記事で、私が伝えたかった内容をまとめます。

 

1 「不登校」と「ひきこもり」の回復は極めて困難だけど不可能ではない。

2 その総数はおおよそ260万人(予備軍も含めて)と予測している。

3 「不登校」と「ひきこもり」は直結している。

4 実態把握することが回復のための前段知識である。

5 きれいごとじゃすまない事実を知る覚悟が必要。

 

 これだけを書くのに、約1時間かかりました。

 やっぱり、説明するのも難しい・・・。

  

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