Nayunayu先生 ~愛のある教室~

現場教師の21年間の実践理論

物の価値はどれぐらい必要かで決まる 第1回【パソコン】

パソコンの価値

 私がまだ大学生だった頃、Windows95の時代です。

 世の中はワープロからパソコンへの移行期でした。

 その当時ワープロは6万円~13万円ぐらいの価格で、パソコンは20万円ぐらいです。さらに、ノートパソコンというのは出始めて、ちやほやされていた時代です。

 

 今では考えられませんが、当時の学生はパソコンを使えない人の方が多かったのです。ワープロだって、文字を打つのに四苦八苦です。ネットって何?って感じです。

 しかし、教育実習や卒業論文で、どうしてもワープロ機能を使う必要があり、私はワープロを買いました。友人たちもワープロ派が多かったように記憶しています。

 私の友人は、「パソコンはまだ進化の途中だから、卒論ぐらいしか使わないならワープロで十分だ」と言っていました。

 

 ある日のこと、私が友人の家に遊びに行っていると、まー君という友人も遊びに来ました。私と友人がワープロの使い方に四苦八苦している様子を見て嬉しそうに

「おまえら、まだワープロなんか使ってるのか?」

と言うのです。そして

「じゃじゃーん」

と、ノートパソコンを取り出しました。

「へー、すごいねー。高いでしょう?」

「20万円だね」

「へー、すごーい。自分で買ったの?」

「いや、親に買ってもらった」

「・・・・・」

 

 という会話の後、まーくんはワープロは時代遅れで、これからはパソコンの時代だといううんちくを我々に説法しまくりで満足そうにしていました。そして、

「おまえら、いいもん見せてやる!」

と言って、ネットを繋ぐ電話回線を取り出し、友人の家の電話の線を勝手に抜いて、自分のパソコンの線につなぎ替えました。

 この当時、インターネットは電話回線に直接つなぐ方式で、繋いでいる間、電話料金が発生するシステムだったのです。つまり、定額無制限という環境が整備されていない時代です。しかも、転送速度が遅いので、なかなか画面が出てきません。その間、友人の家の電話料金は課金されていきます。

 私たちは、インターネットというのをはじめて見たので、字の細かさや画像が出ていることに驚き、「おおー、すごいねー」と感心しました。まーくんはさらに気分を良くしたのか

「まあ、まあ、これからがすごいんだぞ!」

と言って、なにやらキーボードをパチパチと打ち始めました。

 当時は何をしているのか分かりませんでしたが、なんのことはない、ただの検索です。そして、待つこと数分、画面にエロ画像が出てきました。

「おおーーー!」

 私たちがわけの分からない声を出したので、まーくんはさらに機嫌が良くなり

「すごいだろう?」

 と言います。そうして、いくつかの画面を私たちに見せてくれたのですが、とにかく次の画像がなかなか出てきません。

「ところで、これ、電話回線を使ってるってことは、俺の家の電話料金が課金されているってこと?」

 ようやく電話回線を使われている友人が気づいてやめさせていました。

 

 その後、まーくんは、そのパソコンで卒業論文を書き上げ、無事に卒業。

 なぜかパソコンを使う必要の全く無い警備会社に就職しました。

 やがて、ウインドウズ98、ウインドウズMEと時代は進み、大量データ時代、CPUの覚醒、ソフト、ハードの両面において進化し続けます。

 まーくんのパソコンは、二束三文にもならない、ただのごみになってしまいました。

 

 その当時のことを、私と友人で話すことがあります。

「あのパソコンは結局、卒業論文とエロ画像で終わったんだね」

「20万円は高かったかもね」と。

 

 私と友人にとって、とても教訓のある出来事となりました。

 ありがとう! まーくん!

 

 

 

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