Nayunayu先生 ~愛のある教室~

現場教師の24年間の実践理論

「泣く」にも2種類ある

泣く子

 涙が出ることを泣くと解釈しますが、涙は出ていないけど心で泣いているという状態もありますから、涙だけで判断はできないでしょうね。

 まずは、これが前提です。

 

 さて、今回の記事は「泣く」には2種類あるから、注意が必要ですよという内容です。何を注意するのかというと、「泣いている子」への対応です。

 

 1つ目の「泣く」は本物です。

 悲しかったり、辛かったり、悔しかったり、嬉しかったりと、心の奥底にある感情が震えて涙が出る状態。これは、寄り添ってほしい。寄り添うことで、泣いている子は立ち直ります。ですから、これはなんの問題もありません。

 

 問題は2つ目の「泣く」。つまり偽物です。

 感情が震えて泣くのではなく、自分の目的を達成するために泣くということがよくあります。そして、多くの人はコロッと泣いている人の思うように動いてくれますので、その行動が助長されます。本物の「泣く」と同じ行動をとってしまいがちなのです。

 

 昔、5年生を担任しているときに、女の子の転校生がやってきました。

 私の受け持っていたクラスは、とにかくみんな明るくて元気だったのですが、その転校生はとにかくやたら泣きます。子ども達もやや困惑し「なんで泣いているのか分からない」と言うので、もう少し様子を見ようかな?と思っていましたが、クラスの健全化の方を優先して、その子と話をしました。

「君は、どうしてそんなに泣くの?」

「私にも分からないけど、泣いちゃうんです(既に泣いている)。」

「そうか、自分でも分からないのか。前の学校でもそうだったの?」

「はい。」

「家でもよく泣くの?」

「はい。」

「先生の見たところ、泣くような出来事は起きてないのだけれども、とりあえず、何か起きたら泣くということにしているんだね。」

「私も泣きたくなんてないんです(さらに泣く)。」

「そうか、分かったよ。泣きたかったら泣いてもいいのだけど、泣くようなことではないよ。」

「・・・・・?」

「あんね、君の泣くは、赤ちゃんの泣くと同じことをやっている。つまり、泣いたら誰かが来てくれるから泣いているのだよ。でも、新しいクラスになったら、みんな来てくれないでしょ?」

「はい。」

「それはね、先生が行ってはいけないよ と教えてるからだよ。」

「?」

「君は泣けば誰か来てくれるということで泣いているのだけど、それは君のためにならない。来てほしかったら「来て」と言えばいいだけだ。だから、先生もあまり反応していないけど、君のことが嫌いだからではないのだよ。まだ泣きたかったら、泣いてもかまわないけど、出来るなら泣かないで言葉で伝えられるといいね。できそうかい?」

「やってみます。」

 

 ということで、しばらく様子を見ましたら、1週間ほどで泣かなくなり、超明るい子に変貌して卒業していきました。

 

 

 今、全ての学年の体育を見ていますが、やはりこの種の「泣く」はどの学年にも必ずいます。そして、様子を見ていると、やっぱり周りの友達とか先生とか支援員さんはコロッと行動操作されちゃっています。だから、泣く行動が助長されるのです。

 

 本物の「泣く」は寄り添い、偽物の「泣く」は放っておく。

 これが担任が知っておくと役立つ基本的な活動基準です。

 本物か偽物かは、よく観察していれば分かります。

 

 

 

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