アドラー心理学では、悩みごとの全ては対人関係であると言っています。
例えそうは見えなくても、奥深くをのぞき込んでいくと、必ず対人関係に行き着くと言っています。私も自分で考えてみた結果、どうもそれで良さそうだという結論です。
さて、その悩みの種を持つ対人関係ですが、難しさのレベルがあるので紹介します。ちなみに、私が考えたのではありません。本で読んでみて、なるほど、その通りだと思ったのでお裾分けです。
どうやら、本来難しいものを簡単だと信じていることが悩みをより深くする原因ではないかというのが私の至った結論ですので、知っておくと役立ちます。
まずは、結論の理論から書きます。
対人関係は、その距離が近ければ近いほど難しくなります。
これは少し考えれば、思い当たるでしょう。
この原則にしたがって簡単な順から紹介します。
最も簡単なのは他人です。
見ず知らずの人のことで悩むということはないでしょう。
次に簡単なのは仕事関係です。
「えーーー! 難しいよ!」という声が聞こえそうです。
私は否定しません。
「次に簡単なのは」と言っておきながら、この時点で難しいでしょう。
上司との関係、職場の仲間との関係、職場での立ち位置などなど。
もしかしたら、これが一番難しいのでは?と思う人もいるでしょうね。
でも、職場は仕事場ですから、共通の目標があり、その目標を目指しているうちは、ある程度、妥協というか落としどころを探して接することも可能ですし、仕事を終えたらつきあう必要もありません。そして、どうしても嫌なら職を変えるということもできます。
次が友人です。だいぶ距離が近くなってきました。
「えーーー! それは楽しいよ!」という声が聞こえそうです。
それは、社会に出れば友人というのは自分の好きな友達とだけ接することが可能だからそう思うのでしょう。でも、学校はどうでしょうか? または親友だと思っていたのに、裏切られた!みたいな話もありますし、相手のことをすごく知っているような気がしていたのに、実は知らなかったということもあります。
仲が良くなればなるほど、自分だけの友達にしたいという所有欲も芽生えることでしょう。高学年女子特有のグループ化も自然現象として起こります。
ですから、うまくいっているのなら良いのですが、うまくいかなくなると、とたんにややこしい問題になります。
さて、次辺りから距離がグンと近づいて、さらに難しくなります。
次は恋人です。
「えーーー! それは素敵だよ!」という声が聞こえそうです。
先ほども述べましたが、どんな対人関係だって、上手くいっているうちは良いのです。問題は、こじれちゃったらです。もしかしたら、うまくいっていればいっているほど、こじれると悩みが深くなるのではないでしょうか。
恋人の拘束がすごいとか、恋人が私のことを見てくれないとか、別れたくないとか別れたいとか・・・。ストーカー問題もありますし、ひどい場合には殺人事件に発展することもあります。
次は夫婦です。
「えーーーー! ・・・まあ、そうかも?」という声が聞こえてきそうです。
夫の嫁に対する愚痴、嫁の夫に対する愚痴は日常茶飯事です。
距離がかなり近くなり、法的な拘束力も出てきますから、何も努力しないで円満に暮らせるということは、ほとんど起こらないでしょう。
そして、さらに難しい、対人関係の最高峰は親子です。
「ま、まさか、そんな! 認めません!」という声が聞こえてきそうです。
歴史をさかのぼれば、親子にまつわる事件は数多くあります。
また、以前の記事でも書いていますが、うつ病も引きこもりも、家庭の問題です。
そして、ここが重要ですが、親子関係だけはやめることが出来ないのです。
親子関係以外は、どの対人関係もやめることが出来ます。
さらに、親子ですから、最初は大人と子どもの関係で、全ての手綱は大人側が持っていて、子どもにはどうすることも出来ないという事実があります。
「あなたは家庭を否定するのですか!」というお怒りの声が聞こえてきそうです。先ほども述べていますが、私は難しいと説明しているだけですし、実は私が言っているのではありません。アドラーさんが提唱しているのです。
さらに、家庭が悪いって事も言っていません。ただ、難しいと言っているのです。
そして、何度も繰り返しますが、上手くいっているのならいいのです。とても難しい問題に向き合って、自分たちを高めようとしているのですから、素晴らしいの一言です。ただ、こじれちゃっている場合は、難しいからこじれちゃってても仕方ない面もありますよということなんです。
今回、私がお伝えしたいことは、難しいって分かっていれば、心構えが変わって、少しは楽になるんじゃないかな~ってことです。
簡単だと思っていたのにうまくいかなかったら「自分はダメなんだ」と思ってしまいがちです。それだと苦しくなります。でも、本当は難しくて、相当ややこしいと知っていれば、上手くいかなくても、そもそも難しい問題だから「挑戦してみよう!」となってほしくて、記事にしてみました。