Nayunayu先生 ~愛のある教室~

現場教師の24年間の実践理論

9月「入学案」‥‥うん?

9月入学案

 直感的には相当難しいけど。

 

 昨日辺りから、いくつかの知事や国会で取り扱われるようになった9月入学案。

 初めて耳にした私の直感は「それは難しいだろうね」と、さほど気にしていなかったのですが、私の予想に反して一気に拡散してきました。

 ニュース番組を観てみたら、「現場教師の考えは・・」みたいなインタビューコーナーがあり、20代女性教諭と30代男性教諭の意見が出てきました。

 20代女性教諭

「子ども達に学びをということで、私は賛成です。」

 30代男性教諭

「グローバル社会では、ほとんどが9月入学なので、これを機に・・・賛成」

 

 この2つだけでした。

 ・・・・私も現場教師なんですけどね。

 ・・・・そして、私の意見は、この2人とは全く違うんですけどね。

 まるで、現場の総意見のような印象を受けました。

 

 

 そしてスタジオでは、専門家の方が唯一

「教育をあまり簡単に考えない方がよい。」

 と言っていました。

 

 さて、さて・・・。

 

9月入学をどう考えるか

 これはもう、自分の頭で考えてほしいんです。

「考える」というのは、人の意見について考えてみるということもあるし、自分自身で考えてみるというのもあります。

 ただ、いずれにしても、自分の頭で考えるというときには、「知識」と「経験」が必要だということになります。その知識の1つが「他者の意見」ということです。そして、その意見を鵜呑みにするのではなく、それについてあくまで自分はどう考えるのかということです。

 

 

 そこで、まず考えたいのが、上記に示した3名の意見です。

 言っていることは、発言のごく一部でしょうし、本当は他にもたくさんの人にインタビューしているはずですから、テレビ局サイドでその2人を採用したということです。なぜ、その2人だったのかということについては、とりあえず横に置いておきましょう。

 

 そうすると、発言そのものは横に置くとしたら、事実は少しだけです。

 20代女性教諭から分かることは、新卒間もない教師ということと、女性ということだけです。

 30代男性教諭から推測できることは、教師歴10年ぐらいの男性ということです。ただし、採用年度にもよりますから、一概には言えません。

 両者とも匿名ですから発言に責任は伴いません。

 以上が事実です。それ以上でもそれ以下でもありません。

 

 それで、この2人の意見をどう考えますか?

 合わせて、この2人の意見の一部を採用したテレビをどう考えますか?

 私なりの意見は当然ありますが、考えてほしいので言わないことにします。

 

 スタジオで発言した専門家の方はどうでしょうか。

 残念ながら、私がお名前を覚えるゆとりがなかったのですが、テレビに専門家として出演していますから、名前も所属も公表しています。つまり、責任は伴います。

 そして、テレビに出演していますから、50代の男性であることは視覚的にすぐに分かります。

 発言内容は、上記に書かれている他に、「もしこれをやるとすれば、明治維新以来の大改革であり、政治家の方たちはそこまで考えているんでしょうか?」とも言っていました。

 

 専門家の人の意見も考えてみましょう。

 

 

 その後、テレビの報道では9月入学案に関して、「もしも変えるとしたら」という視点から以下の内容を示しました。

 

・入社の時期も9月になる。

・決算の時期も変わる。

・スポーツの開催時期、甲子園やドラフトなんかも変わる。

・就職活動や受験の時期も変わる。

 

 ただ、この時点では、この番組報道の8割~9割ぐらいの内容が「賛成」という流れになっていたことも特記すべき事実です。 

 

 

さらに深く考える材料を

 さて、さて・・・。

 だいぶ考える材料が増えてきましたね。

 私からも、おもいつくままに考えなくてはならなさそうなことを書いてみます。

 

・そもそも、どうして日本は4月から新年度になったのか。

・グローバル化が本当に日本の進むべき道なのか。

・日本という地域性(四季)と行事の関連をどう考えるのか。

・これは教育だけで考える問題なのか。

・教育界に横たわる数々の諸問題がなかなか解決しないという事実と、9月入学という日本全体を巻き込む大改革を比較して考えると、コロナの影響という大義名分だけで行えるのか。

・小さな事だけど、教育だけに関して言えば、7月から8月の夏休みのあとに卒業でいいのか。

・さらに小さな問題だけど(うん?大きいかも)、2021年に予定されている東京オリンピックは、卒業式シーズンと重なり、それは受験や就職ともすべて連動しますけど・・・。

・さらに小さいけど、入学に関する早生まれ制度はどうするのかな? 

 

 9月入学にすれば「子ども達の学力を保証できそうだから良い」と安直に考えちゃいたくなりますが、これはとてつもなく大きな改革案であるということは知っておくべきことでしょう。

 英国のEU離脱問題よりも、首都閉鎖問題よりも、緊急事態宣言よりも、判断するのは難しい問題でしょう。

 

〈追記〉

・では、なぜそのような無謀とも言える案を政治家たちは言い出したのでしょうか。

・政治家たちは、本当に9月入学にできると考えているのでしょうか。

・9月入学案に他意はないのでしょうか。

 

 

最後に 

 先ほども書きましたが、私なりの考えはもちろんあります。

 さらに、どうすれば学校現場は収まるのかという、自分の考えもあります。

 しかし、今回の記事は、自分で考えてほしいということなので、事実だけを書きました。まとめると次のようになります。

 

〈9月入学に関する事実〉

1 報道は現在、9月入学案「賛成」に寄っている。

2 「賛成」という意見を言っている人の変更理由は「学力」と「グローバル化」である。

3 「インタビュー」での意見の場合、その個人が誰なのかはさっぱり分からない。

3 9月入学への改革は、教育の問題ではなく、社会全体に関わる改革である。

 

 さてさてさて、みなさんならどう考えますか? 

 

※松下幸之助さんは、経営の神様と呼ばれていますから、経営に関することを中心にかいているように思われがちですが、それは入り口であって、人間としての生き方に繋がっています。この本でなくてもいいのですが、松下幸之助さんの本は、少なくても1冊は読んでおくと