(2019.10.29の記事をリライト 2020.5.04)
誰にでも新卒時代が必ずあります。
そして、新卒時代に悩むことの多くは、答えが出ています。
さらに、それは必ず通過しなくては一人前の教師にはなれないことになっています。
男性教諭と女性教諭では高学年女子への対応の仕方が変わりますが、この記事は男性教諭限定です(女性教諭の場合は違う方法になります)。
高学年を受け持った男性教諭の悩み
新卒2年目の私は悩んでいました。
初めての5年生の担任。
女子の扱いに苦労をしていたのです。
高学年女子というのは、本当にややこしくて、かまってほしいんだか、そっとしておいてほしいんだか、よく分からなかったのです。
・憎まれ口をたたく
・側によると離れようとする
・でも完全には離れない
・かまって光線を出してくる
・でも近寄って話しかけると女子同士があつまりこしょこしょ話
自分が高学年男子だった頃にも、青年になった頃にも、女子のそのような行動は見たことがなかったので、正直よく分からない。
ある日、同じ学年を組んでいる10年目の先輩教諭(男)に相談しました。
先輩教諭は私の話を「ふんふん」と聞き、
「女子ってのは難しいものだ。だけど、女子を制するものは高学年を制するのだ」
と、何か思わせぶりな言い方で、たぶん「名言」を言ったのです。
当然、私は前のめりになり「どうやって制するんですか?」と聞きます。
「知りたいか?」
「はい、是非、教えてください」
「まあ、待て。」
「何を待つんですか?」
「まずは一服してからだ」
と、なぜか焦らされます。
そして、5分間ほどタバコを吸い、「ふーっ」と一息してから
「じゃあ、教えてやる」
と、またほんの少し焦らしてから
「女子の話を聴いてやることだ!」
良いこと言ったぞ! みたいな誇らしげな沈黙。
問答の開始です。
「・・・・・・聞いてどうするんですか?」
「聞くだけだ。」
「聞くだけで解決するんですか?」
「まあ、しないときもあるけど、聞けば半分は解決だ。」
「そ、そ、そんな・・・。まさか。本当ですか?」
「本当だ」
早速教室で実践です。
私は女子の話を「ふがふが」聴くことに徹し、アドバイスも説明もせず、問題があっっても解決せず、聞かれたことを答え、ただ会話として、ただのおしゃべりとして、休み時間と放課後を過ごしてみました。
すると、相変わらず憎まれ口の女子でしたが、彼女たちの方から私に近づいてくるようになりました。もともと男子は私の側に寄ってきていたので、ついでに男女の会話を繋ぐということも導入し、なんとなく楽しげな教室になったのです。
あれから19年の月日が経ち、毎年のようにこの理論を実践した結果、
「女子は話を聴くことが最重要であり、女子を制する者は高学年を制する」
ということを深く理解しています。
女子は、話を聞いてもらいたいだけです。
お説教もアドバイスもいりません。
※必要な時もありますが、「聞く」ということの後にしか有効には働きません。
そして「聞く」というのは、「傾聴」という高次概念の領域へと進みます。
追記
高学年の教室を楽しくしようとするのなら、男子は女子が必要であり、女子は男子が必要です。男女に相容れない距離が発生すると、お互いに干渉されることを怖がり、どうやっても楽しくはなりません。
そして、教師が何もしないで、男女が仲良く過ごせるということは、高学年に限って言えば起こりにくい。
だから、先生がパイプ役となる必要がどうしても出てきます。
ポイントは、女子は「話を聴く」、男子は「認める」です。
ただし、これは男性教諭の場合です。
一応、リライト記事なので、女性教諭の場合も書いておきます。
女性教諭がパイプ役になるためには
女子は「褒める」で、男子は「頼りにする」です。
また、どうしても教師がパイプ役になかなか慣れない場合の方法としては、エンカウンターという活動をお勧めしておきます。1セッション10分ぐらいでできる活動ですから、週に1回程度、曜日を決めて朝の時間にやると効果があります。
ただ、崩壊してしまっている状況では逆効果の可能性もありますので、注意が必要です。
エンカウンターの本はたくさんありますが、国分康孝氏の本がお勧めです。
国分康孝氏は、心理学とカウンセリングにおける日本の最前線におられる方というのが、私の認識です。