Nayunayu先生 ~愛のある教室~

現場教師の21年間の実践理論

女子を制する者は高学年を制する②

高学年

(2019.10.29の記事をリライト  2020.5.04)


 高学年女子の扱いの極意を伝授されてから18年後の2019年。私は担任を外れ、主にサポート役として他の先生と関わることが増えてきました。

 

 10月某日、学校は学芸会の準備の真っ只中です。

 5年生の劇担当の男性教諭に、劇の進行状況を聞きました。

 すると、興味深い現象が起きていました。

 

①劇のナレーター役の女の子が、文句を言い出した。

②文句の内容は、劇がつまらないので、やめればよかった・・みたいなこと。

③その文句を周りの子にも言っている。

④その結果、劇練習の空気が悪くなってきている。

 

 何に文句を言っているのでしょうか。

 文句の内容を担当の先生から具体的に聞いてみました。

「練習がつまらない」とか「前に言ったことと違う」とか。

 とるに足らないことばかりで、ただのクレームです。

 それほど文句として立派な理由はありません。

 そして、クレームに対処しても、しっかりと理由を説明して納得させても、次から次へと違うクレームを見つけてきては、「劇はつまらない」と主張するのだそうです。

 

なるほど、状況はよく分かりました。

おそらく、別の理由があるはずです。

1週間前に見たその子は、とても熱心で嬉しそうに練習していたからです。

 

 私は担当の教師に、何が起きているのかを整理して説明します。 

 

「今の話を聞く限り、2つのことを理解する必要がある。

 ①その文句は本当に言いたいこととは違う。

 本当に言いたいことが解決しないうちは、ずっと続くということだ。

 ②本当に言いたいことは、この1週間の間に起こっている。

 先生に分かってもらいたいのに言えない内容が、ここ1週間の間に起きているはずだ。」

 

 早速、1週間の様子に限ってさらに詳しい事情を検証しました。

 すると、どうやらナレーター役の衣装についても不満を言っていたという事実が出てきました。私は、おそらく「それ!」だと思って、さらに詳しく聞いてみましたら、おおよそ次のようなことが起きていました。

 

①ナレーター役の衣装は、個人で用意してもらうことを伝えた。

②用意する衣装は、おおよそ黒っぽければ良いという簡単な指示だけをした。

③もうすでに、その衣装を持ってきている。

④その衣装は、お母さんの着ていた服だということ。

 

 これは、一見なんら問題は無いように見えます。

 問題がないはずなのに文句を言っているのですから、ここが本丸です。

 

 その子の個人史、これまでの活動を振り返ります。

 ※担当教諭は今年から接する児童ですが、私は前年度までを知っているので。

 

①その子は、昨年度もナレーター役をやっている。

②昨年度は、かわいいナレーター役の衣装に大満足していた。

③今年も、ナレーター役を希望した。

④ずっと熱心に練習していた。

 

 さて、分かりますか?

 

 おそらく、ナレーター役になるとかわいい服が着られるというのが、その子にとっては大きなモチベーション、大きな楽しみとなっていたのではないか?

 

 私は、かくかくしかじかで、おそらく衣装だと思うよと、担当の先生に伝え、早速持ってきた衣装をチェックしに行きました。

 ※この時点で担当の先生はまだ衣装をチェックしていませんでした。

 

 チェックしてみると、お母さんが着ていた服なので素敵な服ではあるのですが、昨年度と比べると、そして他のナレーター役の子が持ってきた衣装と比べると、やや華やかさに欠けた印象です。

 

 衣装を見た担当の先生は、私が指摘したことに納得し、思い出したように

「・・・そういえば、昨年は○○先生(私のこと)が全部用意してくれて、すごくかわいかった。今年はないんですか?って、何度も言ってました。」

と言いました。

 

 確定です。

 

 その女の子は、言えなかったのです。

 でも、分かってもらいたいから、何度もサインを出していたんです。

 でも、担当の先生には女心が分からなかった

 そして、女子の話をきちんと聞けなかったのです。

 もし、女の子が衣装の話をたくさんしてくるなら、

「どんな衣装が好きなの?」とさらに聞けば、その子が衣装にかける想いを語れたのです。そうすれば「黒っぽければいいよ」という言葉は不適切だと気付けたはず。

 

 私は、担当の先生が大反省していたので、良い経験になって良かったと思いました。

 

 そして、私が個人的に劇のために所有している衣装をあさり、

 その子の喜ぶ顔を思い浮かべながら、

 私と担当の先生の2人で

 かわいらしい衣装を選びました。 

 

その女の子がどんな表情になるのか、とても楽しみです。

 

追記 後日談

 翌日、担当の先生に話を聞きました。

 

 朝、衣装について相談したことや、衣装を用意してみたことを伝えた時点で、表情がよくなったそうです。そして、その日の練習は、ばっちり、きびきびと、はつらつとしていたそうです。

 

 放課後には、担当の先生と一緒に、私もその子の衣装チェックに参加しました。

 とても嬉しそうな表情を見て、担当の先生も私も嬉しくなりました。

 

 ちなみに、担当の先生は、さらに感慨深そうに

「衣装なんですね・・・・・。勉強になりました。」

と言っていました。

 

 めでたし、めでたし。

 

追記 女子を制するには、女心は理解できなくても原則は知ること。

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 女子は変身願望があり、おしゃれ心があります。

 10年以上放映されている「プリキュアシリーズ」が人気なのはそのためです。

 劇の衣装ぐらいで・・・と、思ってはいけません。

 小学生にとっての晴れ舞台なのですから、可能な限り、良い衣装を着せるように心がけてください。一番やってはいけないのは、「カラーゴミ袋をただ上からかぶらせる」です。