(2020.10.30の記事をリライト)
学級で子どもが何かやらかしたら必要に応じて注意したり、叱ったり、話を聞いたりするのが担任の業務にあります。「こらこら、ダメだぞ。」と。
「すみませんでした。」とか「ごめんなさい。」となればそこで終了ですが、なかなかそうはいかない場合があります。
この記事は、そんな「なかなか言うことを聞かない子」に、どのような対応をすれば良いのかということを、その理論と具体的は方法について説明しています。
すぐには改善しないかもしれませんが、知っておくと役立つと思います。
反省の素振りを見せない子と教師の一般的対応
まずは、ごく一般的なやりとりのサンプルを提示します。自分ならどうするかな?と考えながら読むと良いかもしれません。
子ども達が何かをやらかしたとき、最初は優しく問いただします。しかし、その問いかけが詰問のように感じられた時、反省する子もいますが、全く反省の素振りを見せない子もいます。中には逆ギレというか、反抗的態度を強める子もいます。
すると、先生としては、反省の表情をしない!反省してないな!となり、表情を怖いモードに切り替えて、叱りから怒りモードに切り替えてしまいます。
※これは育児にも同じ事が言えます。
ところが、それでも平気そうな顔をします。顔だけならまだしも、こちら側をさらに怒らせるようなことを平気そうに言います。それで先生としては、社会的な常識とか生き方なんかを持ち出すことになってしまいがちです。社会で通用しないと分からせることができれば、きっと少しは反省するのではないか、という淡い期待を抱いて。
「そんなことでは、みんなにも嫌われるぞ!」
「別に、嫌われたっていいし。」
「そんなことでは、勉強できるようにはならないぞ!」
「別に、できなくたってかまわないし。」
「やる気があるのか!」
「ない。」
とまあ、反抗的態度に出てしまっている段階でのこのような会話は、たいてい進展性のない不毛なものであるばかりか、先生との信頼関係というものを修復不可能レベルまでに下げてしまいます。
先生の怒りはさらに増し、やがて「もう、君なんぞは知らん!」みたいになるのですが、そんな最終通告に対しても「別に困らないし!」みたいな反応が返ってくるのがオチになります。
ちなみに、叱るのは理性が働いている状態であり、それは相手のことを思って行われる行為です。それに対して怒るのは理性がやや喪失し、自分の力を誇示しながら行われる行為です。ですから怒るという行為は、恐怖というものを武器としているのです。
叱るという技術を上手に使えると、上記のサンプルまでひどくはなりません。
平気な顔をしている理由
では、なぜそれほどまでに反抗的態度で、反省の素振りを見せないのか、その理由を探ってみます。理由が分からなければ対応の仕方を間違えてしまいますので、しっかりと先生として、大人として、子どもの状態の見極めが大切になります。
一般的な教師や大人の子どもの見極めは、
「この子は、こちらがいくら激しく怒っても平気な神経の図太い子だ。」
でしょう。もしくは、
「これだけ言っても聞かないのだから、もっと厳しくしなくてはならない!」
かもしれません。
ほとんどの人がそう思いますし、平気な子はそう思わせようとします。
でもね、本当は全然違います。そのことを理解しないと、その子と分かり合えることは不可能です。
実は、平気そうな顔をする子は、人一倍「繊細な子」です。
生まれながらに繊細で、他人の感情に敏感で、本当は誰よりも優しい子です。
これ、本当です。このことをまず疑わないでください。
私のブログではよく言っていますが、信じないといけないということではありません。信じなくてもかまいません。でも、信じないと、そのような子とわかり合えることは極めて困難になります。覇権争いが続くからです。
続けます。
通常、叱られたり、怒られたりすると、心にダメージを受けます。便宜上、仮に数値で表すと、10のダメージを受けたとします。ところが、平気そうな顔をするこは、通常の2倍や3倍も繊細ですから、30のダメージを受けます。
通常の子・・・・・・・・・・10ダメージ
平気そうな顔をする子・・・・30ダメージ
日常的にそのような状態だから、日常的に辛すぎています。そこで、脳が自己防衛機能を発揮し、平気だということにします。
ところが、平気そうにすることで、さらに怒りを買い、2倍、3倍も強く叱られます(この時点で、先生の指導は怒りモードになってしまいます。)
すると、30×3倍で、なんと90ダメージです!
10ダメージでも人はしょぼんとするのに、90ダメージもです。
もう、しょぼんどころではなく、起き上がれないほどのダメージです。
辛すぎませんか?
結果、辛すぎるのを回避する必要があるから、平気な顔でいるのです。心はズタボロですが、それを出すことも許されません。だから、せめてこの場を早く離れるしかないのです。
「じゃあ、素直に謝ればいいじゃないのですか?」
という声が聞こえてきそうですね。謝れるのは、元気な人です。しかも、繊細すぎる子は、様々な矛盾にも気付いています。そういう子なのです。繊細なので、大人のずるやエゴにはすぐに気付きますし、自分が反省していないことには謝れないという状態でもあります。
全くそうは見えないかもしれませんが、「いじらしい子」なんです。
平気そうでも平気ではないという理解で対応する
「叱って平気な顔をしていたら、繊細な子だ」ということを知っていれば、対応ができます。人の2倍から3倍に傷つきやすい子だから、人の1/2とか1/3ぐらいの強さで叱るのがちょうどよい加減です。
傷つきやすいということ、繊細であるということは、もちろん長所にもなりうるので、「本当は優しいってことを、先生は知ってるんだぞ!」みたいなメッセージを送り続けることです。良い感情も敏感に感じ取れます。
これまで、自分のことを理解してくれなかったのに、理解してくれる人が現れたら、もう、子どもは嬉しくなって、完璧に先生を信頼します。
以上の理論から導き出される具体的な対応方法は「個人面談をする」です。
先生と2人きりで、とにかく話を聞き、先生の意見をぶつけ、完璧に向き合うことです。そこには怒りなど必要なく、先生は君の味方だというメッセージを繰り返しだすことです。
信頼したら悪さはしない・・・・かというと、まあ、するんですけどね。
先生の言うことは素直に聞きます。
何故したのかという理由も素直に話すようになります。
本当は人一倍、優しい子ですから。
本当に、本当に、優しい子なんですよ。絶対に手を離さないでください。