Nayunayu先生 ~愛のある教室~

現場教師の27年間の実践理論

名言とは何か

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 名言集をパラパラとめくって、「いいこと言うね~」と感心して読んでいましたら、ふと「名言ってそもそもなんだろう?」という疑問が出てきました。名言とは何かについて分かった事があるのでお裾分けします。今回の内容に納得できたら、きっと自分でも名言を作れるようになるのではないでしょうか。まあ、名言って作ろうと思って作るものでもないんですけどね。

①スピノザ ②レオナルド・ダ・ヴィンチ ③林真理子

 

名言と何か

 最初に結論から。

 名言とは「事実」であるものを「あーだこーだ」言わないで端的に表した言葉です。そして、その名言はあくまで受け取り側に委ねられているので、多くの人たちをはっとさせるような「事実」を言い当てたときに名言に昇格します。

 

 もう少し事例を挙げながら詳しく説明しますね。

 まずは、次の名言を読んでください。

 

「年老いた者が賢いとは限らず、年長者が正しいことを悟るとは限らない」

                     旧約聖書(ヨブ記)より

 

 さて、まず理解してほしいことの1点目は、旧約聖書というものからの抜粋なので、なんだかありがたいなと思ってしまうということです。そこに捕らわれてしまうと言葉そのものを正しく解釈できなくなってしまいます。もしこれが隣のおじさんが言ったのなら「あのおじさんは良いことを言うね」ぐらいにしか思わないかもしれませんよ。つまり、あくまで言葉だけを見つめてください。

 

「年老いた者が賢いとは限らない。」

 まあ、そうでしょう。賢い人もいるし、そうでない人もいます。

 若くても賢い人もいますでしょう。

 そういう「事実」を言っているのです。

 

「年長者が正しいことを悟るとは限らない。」

 どうして年長者が正しいと言えるのでしょうか。経験が豊富だからということは言えそうですが、経験値は人によって違います。どう生きてきたかということに関与しているので、たくさんの経験を積んだ人は若輩者よりは正しいことを悟っているかもしれませんが、それは「年長者だから」という理由ではありません。

 ここでも、ただ「事実」を言っているだけです。

 そして、その「事実」についてつべこべ言わない。良いとか悪いとか一切言わないこと。すると、その言葉の経験をしていて「本当にその通りだ」と思って共感する人が多ければ、名言となるわけです。

「そうでしょう? 前からそう思ってたんだよー。」とか。

「やっぱりそうでしょう! おかしいと思ってたんだよー。」とか。

 

深い名言とは

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 では、事実を言い当てたら名言なのか?というと、そういうわけでもありません。誰でも知っていることを言ったって、誰でも知っているのだから、誰もはっとしないのだから名言にはならないのです。

「さばの味噌煮は、さばと味噌の協同作業である。」なんて、名言っぽく言ったところで、それはさばの味噌煮の説明をしているだけで誰もはっとしません。

 名言集には様々な名言が載っているのですが、自分にとって共感できる名言が他の人に共感できるというわけでもないのです。深い名言もあれば浅い名言もあります。そして、深いとか浅いとかも、人によって違います。

 つまり受け取り側の問題。

 

 次の名言を読んでください。

 

「私たちは無知によって道に迷うことはない。自分が知っていると信じることによって迷うのだ。」       ジャン・ジャック・ルソー(仏:哲学者・作家)

 

 これはちんぷんかんぷんな人にとっては名言でもなんでもないわけです。

 でも、迷ったことのある人や迷って苦しんだ人にとっては光となるのです。

 無知だと迷うことはないということと、知識が邪魔をするという事実を言っているだけです。だから何だということでもないのです。無知は良いよとも言っていないし、信じることはダメだよと言っているわけでもありません。ただ「そういうものだよ」と言っているに過ぎないのです。

 

 この「そういうものだよ。」という言葉がすっと自分の中に入ってくる人は、それを既に経験しているか、以前からそう思っていたかしています。そして「はっ」とする。そう言われればその通りだと共感することで「名言だ!」となるのです。

 結局受け取り側に委ねられているのです。

 

 ですから深い名言とは、深いところまで共感できる人が理解できる言葉ということになります。だからといって、それが良いとか悪いとか、そういう問題でもありません。ただ、その人がどれだけ理解できるかということが関与しているということです。

 

 3つほど名言を抜粋してみます。

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 どの名言が深いかなんて正解があるわけではありません。ただ理解できたら名言だと感じるし、理解できないものは名言にはならないということを経験してほしいのです。先ほどから「名言とは事実を言っているだけである。」ということを論じてきたので、その事実に「はっ」とするかどうか、自分の素直な感じを感じてほしいのです。

 

1つ目。

「自分にできないことを考えている間は、本当はそれをやりたくないと心に決めているのだ。」

 

2つ目。

「本当に物事が分かっている人は、大声を出さないものである。」

 

3つ目。

「したことの後悔は、日に日に小さくすることができる。していないことの後悔は、日に日に大きくなる。」

 

 どうでしょうか。どれもこれも「事実」を言っているだけです。

 3つの中に自分が「名言だな~」と感じた言葉が見つかったでしょうか。

 どの名言が気に入ったでしょうか。

 あえて誰が言った言葉なのかを伏せています。

 先ほども書きました通り、誰が言ったのかが分かってしまったら、言葉そのもを純粋に味わうことを邪魔してしまうからです。あくまで自分はどう感じたのかを大切にしてください。

 

 でもまあ、誰が言ったのかは気になるでしょうから、吟味した後に誰が言ったのかを確認してみてください。この記事のタイトル下、前段の下に書いてあります。

 

 

ここ最近で一番心に残った名言

 最後に、私が「これは名言だな~」と思った言葉を紹介して終わります。

 

「一本のろうそくから何千本ものろうそくに火をつけることができる。それで最初のろうそくの寿命が短くなることはない。幸福は、分かち合うことで決して減らない。」

 

 名言集はたくさん出ていますが、1冊側に置いておいて、気軽に読める環境を作っておくと楽しいかもしれません。私がもっている本をオススメしますね。

※今回紹介した名言も、この本からの抜粋です。