Nayunayu先生 ~愛のある教室~

現場教師の24年間の実践理論

同じ問題はでないけど、同じような問題は出る。

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 子ども達に常日頃伝えているメッセージがいくつかあります。

 そのひとつが「同じ問題はでないけど、同じような問題は出る。」という言葉です。この言葉を本当に理解し始めた子ども達から、問題を間違えることが減り、学習したことをよく覚えるようになってきました。

 学力をつけるためには、分かりやすく教えなければならないと、多くの教師は信じていますが、違います。教えるのは教師の仕事のひとつですが、覚えたり、できるようになることは子ども達に委ねられています。

 久しぶりの記事なので、真面目に教育に関することを書くことにします。

 

なぜ問題を解くのか

 算数が分かりやすいので、算数で説明します。

 例えば、足し算の筆算のやり方を教えた後に「では教科書の問題を解いてみましょう。」ということになります。教えた内容が理解できているか、他の問題を使って確かめてみるという作業になります。教えたときに使った問題とは違いますが、類似問題に取り組ませてみるのが一般的です。

 すると、解ける子は理解したということになり、解けなかった子はまだ理解していないということが分かるのです。

 似たような問題を通して、問題を解くための手順を確認していくことになります。どこでつまづいているのかを分析し、分からない子には再び親切丁寧に教えることになるでしょう。

 しかし、私がここでお伝えしたいことは、そうやって教えても、教えて分からせただけなら、やっぱり類似問題は解けないということです。それは、教師側が類似問題を解いてみることの本当の理由を理解する必要があるということで、逆に言うと、それを理解すれば子ども達に学力をつけるために役立つということです。

 

 では、問題を解かせる本当の理由は何かと言いますと、子ども達自身で消化させる、経験させるということに他なりません。与えられただけの知識を自分のものにするためには、どうしても自分自身で確認し、納得し、体験し、実感することが必須であり、それなくしてはあっという間に忘れてしまいます。

 さらに都合の悪いことに、優しく教えれば教えるほど、教えられることになれてしまうという理由から、自分の頭で考えようとしなくなっていきます。自分の頭で考えているわけではないので、いつになっても自分のものにはならないということが起こるのです。

 

同じ問題はでないけど、同じような問題は出る。

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 私は問題が解けなかった子に対し、次のように伝えます。

「先生はこれ以上教えることはできない。教えるべき事は全て教えました。どこでひっかかっているのか、どうして間違えたのか、自分で分かるはずなので、見つけてください。」と。

 これが浸透するまでには時間がかかりますし、他にも様々な要素を加えて行く必要がありますが、とにかく「自分で見つける」「自分で考える」と言ったメッセージを送り続けます。何度も何度も繰り返し送り続けます。

 すると、自分で考えるということについて、最初に理解する子が登場します。

 1人目が出たら、2人目はすんなり出てきます。

 それが10名程度に増えたら、一気に教室全体に広がります。

 

 テストの前に、練習プリントをやってみます。

「間違えたらチャンスだと思ってね。」と伝えると

「同じような問題がでるからね。」と、子ども達から反応が返ってきます。

 この状態になると、かなり浸透しています。

 ついでに、間違えることは失敗ではなく、もっと頭が良くなるために必要なことだということになっていきます。そして、自分で理解した子ども達は目を輝かせ、「他の問題もやってみたい!」という大変望ましい状態になります。本当に理解し始めたら、試したくなるのです。それは本能的であるので必ず起こります。

 さらに、本当に理解したら嬉しいので、その喜びを他の人にも分けてあげたいという感情も起こり、教え合いも起こります。

 

 

同じような間違いをする子

 算数でよくある間違いは、「単位をつけ忘れる」「聞かれたことに答えていない」「正しいもの2つに○をつけなさいと書かれているのに、ひとつしか○をつけていない」「単純な計算ミスがある」「引き算の筆算なのに、足し算をしちゃっている」などなど、このようなケアレスミスが一番多いです。

 ケアレスミスは、注意不足なミスですから、軽視しがちです。

 ついうっかりミスしちゃった!ぐらいでしょう。

 実はこれがやっかいだと気づかなければならないのです。

 気づかなければ、ケアレスミスは続きます。全く同じでは無いかもしれませんが、同じようなケアレスミスを続けます。

 教師なら誰でも経験しているはずです。名前を書き忘れる子も、単位をつけ忘れる子も、単純な計算ミスをする子も、だいたい毎回同じ子だということを。そして「ケアレスミスだから、まあ、理解はしてるので大丈夫かな?」なんて考えたり、テストの間違いを直させて「これで分かったね!」なんてしているからダメなのです。本当は重大な問題なのに、軽視しているという理由で、それはやっぱり続くのです。

 つまり、教師も気づいていないのです。

 ケアレスミスは形を変えて存在し続けることになります。

 ついうっかりミスしちゃった時こそチャンスです。なぜついうっかりミスしたのかをしっかり意識させることです。軽視せず、重要視することです。

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 同じ問題はでないけど、同じような問題は出る。

 実は、このことはあらゆるところに同じように出ます。

 算数だけでなく、国語でも理科でも社会でも同じように起こります。

 もっと言うと、人生全てにおいて問題が出ます。

 だから、このことを本当に理解すると、人生に大変役に立ちます。

 人は気づくまでは同じような問題が起こり続けます。

 注意深く、意識的になることです。

 

 久しぶりの記事なので、分かりにくい記事になっているかもしれません。

 最後まで読んでいただき、ありがとうございました。