Nayunayu先生 ~愛のある教室~

現場教師の24年間の実践理論

会話のすすめ

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 学級懇談会や面談などで、私は「親子でたくさん会話してください。」と勧めます。コミュニケーションのひとつである会話を勧める理由はたくさんありますが、実は会話していると思っていてもしていない場合が多いので、私は会話を強調しています。

 今回のテーマは、会話とは何なのかということと、会話がもたらす抜群の効果についての説明です。毎回同じようなことを言っていますが、一円もお金がかからないので、自分にもできそうなこと、自分が納得したこと、やってみよっかな?と思えたことを実践してみることをお勧めします。少しでもこの記事がお役に立てたなら嬉しいです。

 

会話とは何なのか・・・

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「昨日の夜さ-、消費期限の切れた牛乳をのんだのさ。そしたらお腹がいたくなっちゃってね、何でかな~って考えてるんだよ。」

「・・・そうだったの。お腹痛くて辛かったのね。何が原因なんだろうね?」

 

 会話とは、ごく簡単にいうと「おしゃべり」です。ただのおしゃべり。なんの生産性もなく、なんの目的もなく、あてもなくさまよっているもの。利害もなく、ただおもしろおかしくするもの、それが会話です。そこに何かの目的が発生すると、それは会話ではなくなります。

 

 何かを決めるためにするもの、それは議論。

 何かを理解するためにするもの、それは討論。

 相互理解をするためにするもの、それは対話。

 対話が複数名で行われると対談。

 自分が話したいことを一方的に話すのは、演説。

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 自分の不平不満を誰かに聴いてもらうのは、ただの愚痴。

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「あんたねぇ~、さっきから何言ってんのか、さっぱりわかんないんだよ~! ぐちぐち言ってて、まったくつまんないんだって! 何が言いたいのさっ! 私に不満があるってこと!?」 ※愚痴は大抵嫌がられます。

 

 あるお母さんが「うちの子は、学校のことをあまり話しません。」と言うので、「たくさん話しかけてください。子どもはというか、人は誰でもおしゃべりが好きですから。」と勧めるのですが、あまり受け入れられないかな?

「話しかけても、別にとか、ふつーとか言って素っ気ない。」とか

「男の子だから、おしゃべりはあまり好きじゃないのかもしれない。」とか、自分のこれまでの経験が邪魔をして受け入れられないのでしょうね。

 

「今日、学校でどんなことがあったの? えっ、ふつう? なんかあったでしょう。勉強はどうだったの? うん? 面白かった? 理解したの? 宿題は出たの? いつやるの? 後から? 後っていつ? 昨日も後からやるっていって夜遅くまでやらなかったんだから、先にやってしまいなさい。」

 

 これは極端な例ですが、これは会話ではありません。尋問です。取り調べ活動です。そもそも楽しくはないでしょうから、その一点に置いても会話とは呼べません。

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「ほほう・・・・。本当は君がやったんじゃないのか?」

 

 会話というのは、話したいことを話す言葉のやりとりであって、評価・評定するものでもないのです。会話というのは、もっと気持ちの通い合ったものなのです。気持ちにも色々ありますが、楽しかったことや嬉しかったことが一番効果があります。悲しかったことや悔しかったことでもいいのですが、会話による状態が良くなるにしたがって、楽しかったことや嬉しかったことの比重が大きくなります。

 理由は「楽しい・嬉しい気持ち」は表現すれば増え、「悲しい・悔しい気持ち」は表現すれば消えるという性質があるからです。

 

 以上のことを簡単にまとめると、会話とは何かといいますと・・・。

1 目的がないこと

2 気持ちのやりとりであること

3 否定も非難も存在しないこと

 

 そして、一番大切な理解は「会話は気持ちの表現である」ということです。

 この一番大切な理解を説明します。

 

会話がもたらす抜群の効果について

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 会話は自己表現のひとつです。そして表現することは人の持つ大きな欲求のひとつです。人は何かを表現したいのです。芸術家は芸術作品を通して、作曲家は音楽を通して、サラリーマンは仕事を通して、主婦の方は家庭生活を通してという具体に、人は様々な場面で自己表現をしています。

 その表現にも様々な形がありますが、会話には「気持ちを表現する」という目に見えない表現が含まれています。気持ちの根は「感情」ですから、感情の一部を放出、あるいは表現しているということに繋がっています。

 

 難しい表現が続きましたので、もう少し簡単に。

 

 自分の気持ちを表現するというのは、「自分の気持ちを表現してもいいんだ」という自己受容になります。自分の考えでも同様です。「自分の考えを言ってOKだ」という経験をし続けることになります。

 何を言っても受け入れられるとき、人は安心感を得ます。

 その安心・安全の中で、自分を表現し続けられる人が、自己肯定感のある人です。つまり、1つ目の会話による抜群の効果は「自己肯定感が育つ」ということです。

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「はいはい! 私の考えを言いたいです!」

「はい! できるなら当てないでほしいけど、手を上げいる僕を見て!」

「私は書くのに忙しいから、誰か他の人を当てて場を繋いでね。」

 

 人は自分自身に許したことしか他人に許すことはできません。逆の見方をすれば、人は自分に許していないことは他人にも許せません。これを専門用語では「投影」と言いますが、ほとんど無意識なので、大抵は気づきません。

 何を言っても受け入れられる自分は、気持ちや考えを言える自分を許しています。すると、他人にもそれを許します。つまり、2つの目の会話による抜群の効果は「他者に寛容になれる」です。

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「それでもオーケーでーす!」

 

 心と身体は一体で、完璧に連動しています。そして、先に述べたように「楽しい・嬉しい」は表現すると増幅し、「悲しい・悔しい・さみしいもかな?」は表現すると消滅する性質があります。この2つを理解すると、楽しい会話は、楽しいが増幅し心と身体の連動により、細胞が元気になるということが理解できると思います。ある研究では、「笑いの効果」というものが実証されています。3つ目の会話による抜群の効果は「元気になる」です。

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「今日はやる気がみなぎっちゃてるな!」

 

 人が意識的に活動できている範囲はとても小さいです。ほとんどが無意識領域です。自分でしていることを意識できているということはあまりありません。だからどんどん忘れていきます(本当は忘れていないけど)。ところが、会話をしていると、次から次へと思い出すということになります。自分の行動や言ったこと、周りの状況などを振り返ることに繋がっていきます。話しているうちに気がついたという経験がある人も多いと思います。つまり、4つ目の会話による抜群の効果は「振り返って気づくことができる」です。

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「はははっ、だからさ、おれっちは言ってやったんだ。そんなのありえねーって。」

「そうなの? でも、あったんだからありえたんじゃないの?」

「はははっ ・・・・・。」

 

 本当に会話が成立しているとき、人は自分自身の心の声に向き合っています。たいていの場合、楽しいや嬉しい話は簡単にできても、悲しいや悔しいという話は、タンスの奥に密封してしまいがちです。これを専門用語で「抑圧」と言いますが、抑圧されたものは増幅します。決してなくなることはなく、ただただ表出する機会を伺ったままそのエネルギーを増幅させるという性質があります。会話の中で、その気持ちも表現することができるのなら、ため込む必要もないわけですから、常に精算されるということになります。つまり、5つ目の会話による抜群の効果は「新しい朝をリセットした清々しい気持ちで迎えることができる」ということです。

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「新しい朝が来たわ!希望の朝が! 喜びに胸を開き、青空仰げ・・・・なのよね!」 ※ラジオ体操、朝の唄より抜粋。

 

 まだ考えれば説明できそうですが、私が伝えたいこと「会話には抜群の効果がありますよ」という内容は伝えられたかな?と思うので、この辺で終わりにします。

 

会話のすすめ

 おしゃべりな子は、ほとんど例外なく頭がいいです。頭の回転が早くて言葉が多彩です。まあ、話の内容にもよりますから、不平や不満、自分のことばっかりおしゃべりするのなら、エゴが絡んでいるので、それは当てはまりませんが・・・。

 会話を楽しんでください。

 会話を楽しむためのコツを最後にお伝えします。

 それは、自分が会話を楽しむことです。

 もう、それしかないかな?

 それしかないけど、分かりにくいですね。

 具体的なコツは・・・

 

・とりあえずしつこく聴くこと。

・何かしゃべったら、「そんなことあったの」とか言って受け取る。

・否定しないこと。

・気持ちを聞くを中心にすること。

・必要な場合は、聴き手も自分の気持ちを伝えること。

・話を遮らないこと。

・相手が気持ちを表現したら、その気持ちに同調すること。

 

 うん? 聴き方の説明になってしまいましたね。

 聴くと話すは表裏一体なので大丈夫かな・・・。

 教育ブログなので、大人が子ども達にという内容になっていますが、誰にでも共通しているので、大人用にアレンジして活用してみてください。

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「それでな、昨日の夢にわしの母さんが出てきたんじゃ。早くおいでって。」

「そう、それはいい夢でしたね。」・・・・・・バツ。

「それで、どんな気持ちになったんですか?」・・・・・マル。