Nayunayu先生 ~愛のある教室~

現場教師の24年間の実践理論

良書の条件

 本を読んでいて、気づいたことがあります。

「これは本当に良い本だなぁ~」と思って、奥付けを見たら、大抵「初版」なのです。その後、増版された可能性はありますが、おそらく「初版」で終わりです。

 つまり、良書なのに売れないのです。

 何冊か確認してみたところ、私が何度も読み返したくなるような本は、大抵「初版」でした。その理由を考えてみたところ、自分なりに納得したのでお裾分けします。

 

良書の条件

 良書とは、字の如く「良い本」という事になりますが、それは読み手が決めます。読み手が「良い」と思えば良い本で、たくさんの人が「良い」と思えば「良書」として増版が決まります。売れてますから。

 ただし、読み手が決めるので、読み手がどう感じるのかがポイントです。

 ですから、ここで私の言う「良書」とは、あくまで私が良いと思った本ということになります。私が良いと感じた本はあまり売れていないということです。ですから、今回の記事は、大変個人的ではありますが、私がどういう本を良いと感じるのかということが良書の個人的な定義となります(感じ方は人それぞれなので、あくまで私がという条件がついてしまうことをご了承ください)。

 私が良いと感じるのは、筆者自身の経験や考え方、価値観が反映されていたり、本当の事=真実が分かることや、ややこしい問題の根本に向き合っているような本です。

 つまり、大変勉強になったり、自分自身の考え方や価値観を広めてくれるような本です。そして当然ですが分かりやすいということも大切です。分からない本は読んでいたら眠たくなってしまいますから。

 

良書なのに売れない理由

「良書=本当の事が書かれている」に焦点を当ててみます。

 本当の事が書かれているということは、物事の根幹、本質、真実に迫っています。すると、それは良さそうなんですが、実は全く良くないのです。多くの人たちにとっては都合が悪いということがよくあります。

 

 今から20年も前に書かれた「甘え」に関する本を読んでみると(もちろん初版)、次のように書かれていました(簡単にまとめると・・・)。

「甘えの構造と不登校やいじめ、心の病気はおおいに関連しています。しかし、マスメディアは学校教育の問題あたりで終わらせている。それはマスメディアが本当の事を言うと、ややこしいことになるからです。せいぜい、父親が非協力的だからという理由をたまに述べるに過ぎません。」と。

 甘えは家庭の問題で、不登校やいじめは学校。

 すると「学校がいけない」と言いやすいのですが、この本の筆者が考えるに、「甘えの構造と密接に関連している。」ということは家庭も関連している、それどころか、家庭こそが根幹であるという理論なのです。

 そして、それぞれの内容を詳しく分析、解析、説明しているわけですが、どれも納得できることばかりです。これが20年前に書かれているということ自体が驚きです。でも、家庭の問題にしてしまうと、かなり都合が悪い人が増えます。それで一般的には売れないのでしょうね。

 

出版社及び編集部の皆さんに感謝!

 初版で終わっているけど、出版されたから私たちは目にすることができます。

 また、日本では売れなかったとしても、海外では売れているという事例もありますから、あくまで「日本では売れていない」ということになるのでしょうが、なんにせよ、よくぞこの世に出てきてくれましたね! アリガタイ! という気持ちになります。

 たくさん売れた本は、簡単に手に入れることができます。

 しかし売れなかった本は絶版ですし、そもそもそれほど多くは流通していないので、なかなか手に入れられないだけでなく、その存在も知られていません。

 ですから「これは良い本だったな~」と思って奥付けを見て、初版だったら「本当にありがたいなぁ~」という気持ちになります。

 ちなみに、昔の本って、素敵な本が多いような気がします。

 まあ、好みでしょうけれども。