健康は「運動」「睡眠」「食事」の総和であり、これに「心」が加わり、かなり複雑です。最初の3つは外側のことで、「心」に関しては内側です。両方ともかなり奥深く複雑でそれが絡み合っているので、その複雑さは私もまだ理解しきっていません。でも、現時点で分かる範囲でお裾分けします。さて、第4回は「運動」です。今回もごくごく簡単に?解説します。
1 運動が健康に良い最大の理由
運動が身体に良いということは誰でも知っていることだと思います。当たり前すぎるので、説明するのもおこがましいのですが、少し整理する意味を込めて、運動と健康についての関係を解説します。
運動が健康に良い最大の理由は「身体は使えば使うほど良くなるから」です。当たり前のことなんですが、もう一度再認識する必要があるかな?と思っています。
どういうことかと言いますと、機械や物質は新品状態が一番良くて、使えば使うほど古くなって状態が劣化するのですが、身体は逆であるということの再認識です。
どうも最近の世の中を見ていますと、この「機械や物質」と「人の身体」を同じように考えている節があるので、その警鐘からなんです。
例えば西洋医学は、身体に不調があれば、そのパーツを治します。ひどい場合は新品と取り替えるみたいな感じです。しかし、人の身体は機械のようにパーツを取り替えたら治るという代物ではないのです。「機械や物質」と「人の身体」は本質的に違うという理解が必要なのです。人の身体(筋肉や血液、臓器や神経細胞等々)は、全て繋がっており、総和として健康が生じます。そして使うほど良くなります。これが大前提です。
2 運動することで何が起きているか
まず理解しやすいのは筋肉です。筋トレをすれば筋繊維が肥大化し、筋肉がつきます。筋肉に負荷をかけることで、より強い筋肉が生まれるのです。
筋肉には、筋肥大する「速筋」と筋肥大しない「遅筋」があり、無酸素運動と有酸素運動という表現をすることもあります。まあ、こういう一般的な知識は横に置いておき、もっと深いところで何が起こるのかを説明します。
人の身体は、2つのエンジンを積んでいます。
1つ目は糖質エンジン。2つ目は脂質エンジン。
糖質エンジンが枯渇すると、ようやく脂質エンジンが起動します。
だから有酸素運動は20分以上しないと脂肪燃焼が起こらないのです。
普段から糖質を多く摂りがちな人は、常に糖質エンジンが稼働しており、脂質エンジンは動いていません。つまり、脂質が溜まり放題なので、脂肪が増えて太っていくという原理です。
そして、ここからが本題になりますが、先ほども述べたように、人の身体は使わないと機能停止、機能不全、劣化していくという特性があります。機械だと新品状態で良いのですが、人の身体は逆なんです。
つまり、脂質エンジンがどんどん劣化します。
実は、人の身体は脂質エンジンを使うことで健康が向上していく仕組みになっています。脂質を使うということは、細胞の中にあるミトコンドリアを活性化させることに繋がります。これが爆発的なエネルギーを蓄えており、様々な臓器や血液、血管などにも働きかけるのです。
ですから、運動することで筋力が直接的に向上するということだけでなく、身体のシステム自体が変わるということです。
ちなみに、何も考えずにテレビばかり観てダラダラすると、脳を使わなくなるので、脳が劣化して呆けます。これも人の身体は使わないと劣化するという同じ原理になります。
そして、運動することでホルモンが大量に分泌されることも覚えておくと良いでしょう。逆に言うと、運動しないと分泌されなくなります。
運動を筋力アップとか、ダイエットとか、そういう目に見えることは分かりやすいのですが、見えないところでも様々なことが起きているので、実感するのがなかなか難しいのですが、確実に起きています。
3 お勧めの運動3選
以上のことから、運動は筋力トレーニングでもいいし、有酸素トレーニングでもいいし、ヨガでも体操でも何でも良いということになります。要は健康のためには、脂質エンジンを起動させるということに尽きます。
しかし「分かってはいるんだけど、なかなか運動できないんだよね。」とか「結構すぐに挫折しちゃうんだよね。」とか「モチベーションが上がらないのよね。」とか、人は様々な事情があってなかなか運動できないのが実情でしょう。
そこで、私がお勧めする簡単な運動を3つ紹介します。
どれも簡単ですが、実践する前に「運動がもたらす健康効果」をしっかりと理解しておくことが重要です。筋力アップではなく、見えないところでめちゃめちゃ健康的になっているという信頼感や、自分の身体が喜んでいるという想像力を持つことです。
運動しなかったら、大変なことになるというマイナスのモチベーションは長続きしません。「運動したら身体が喜んでくれる。」とか、「運動したら、どんどん健康になってしまうな。」など、良い面を常に意識し、感じる事で、良いモチベーションが保てるでしょう。
では、簡単なお勧め3選を紹介します。
①基本中の基本はウオーキング
もう、どの本を読んでもトップ項目で書かれていますので、説明の必要もありません。一番気軽で、いつでもどこでもできます。歩くことです。走らなくてもいいですから、歩いてください。
「でも、それが難しいの・・・」と言うのは、もう健康のための運動全てを放棄し、代わりに身体が劣化しつづけるというリスクを受け入れると言っているのです。
まあ、それが私の本音なのですが、それだと身も蓋もないので、一応打開策をいくつか提示してみます。できそうなのがあったらやってみてください。
(1)お友達を道連れにする。
一人では難しくても、お友達と一緒ならできるということはあります。運動仲間という法が表現としては良さそうです。
(2)万歩計を購入する。
一日1万歩が健康の秘訣だと何かの本で読んだことがあります。万歩計をつけることで、数値として目に見えるので、とりあえずモチベーションがあがるかな? 最近は、スマホにも万歩計機能がついていますので、それを活用しても良いかもしれません。
(3)ウインドウショッピングなど、自分が好きなことをやる。
歩くことを目的にしないことです。自分が好きなことをしている時は、楽しく動けています。以前、ディズニーランドに行ったら、知らない間に2万歩も歩いていました。歩こうと考えなくても歩いてしまう状況をあえてつくることです。
(4)テレビを消すこと。
テレビはついつい観てしまう上に、座ったり寝っ転がってしまう温床です。テレビを消せば、何かしようかな?となるので、自然と動きます。
(5)スマホも見ないこと。
テレビと同様、運動しない温床の1つがスマホを見続けることがあります。とにかくスマホを見ないことで、暇な時間を生み出すことです。
以上、思いつくまま打開策を5つ提案しましたが、それでも駄目なら、もう駄目です。運動しないで不健康になることを潔く受け入れてください。
②ジムに行く
お金をかけたら、元を取りたいのでやってしまいます。
ジムに行ったら、運動以外することがないのでやってしまいます。
めんどくさいし、お金もかかりますが、環境を無理矢理つくることです。
ジムは、時間的にもハードルが高いですが、効果は抜群です。
水泳もいいのですが、同じようにハードルが高いです。
ですから、ジムも水泳もお勧めではありません。
うん? どういうこと? と思われたかもしれません。
つまり、ジムは超お勧めなんですが、運動習慣がない人にとってはハードルが高すぎるということなので、そのハードルを下げて、自宅をジム化するということです。
何もジムの器具を用意するということではありません。基本は自重トレーニングになりますが、要は筋トレです。
具体的には、バランスボールを1つ購入するだけでも違います。
テレビを観るときに、ただ座って見るのではなく、バランスボールに座って体幹を鍛えながら見るとか、脚の運動をしながら何かをするとかです。
本当は、運動に集中した方が良いのですが、敷居が高そうなので、可能な限りハードルを低くして、「それならできそうだ!」というレベルです。
低いレベルではありますが、運動ゼロと比べると明らかに違います。
③ストレッチをする
もう、めちゃめちゃハードルが低いです。
朝起きたら、軽く伸ばすとか、テレビ見ながらストレッチするとか、「そんなんで運動と言えるの?」くらいのレベルです。
しかしね、たかだかストレッチでも、しないのとしているのでは雲泥の差です。そして、真のねらいは、ストレッチを入り口にするということなんです。そして、実は朝のストレッチは身体の細胞スイッチが入るので、燃焼モードに移行します。その結果、ダイエット効果もあります(ほんの少しですが・・・)。
ストレッチを続けていたら、きっとあなたはこう思うことでしょう。
「うーん、気持ちいいね!」
「せっかくストレッチしたんだから、ちょっと散歩でもしようかな?」
「身体が喜んでいるのが分かってきた。もっと喜んでもらいたい!」
「ちょっと腕立てぐらいしてみようかな。」
「あ、そうそう、散歩始めたから万歩計でどれぐらい歩いているか知りたいな。」
「あれ、気がついたら、前よりも身体が健康的に感じるな~。」
「せっかくだから、食事も少し気をつけてみよっかな?」・・・等々。
「千里の道も一歩から」作戦です。
いきなり運動習慣をという考えを実践できるのは、よほど意識の高い人だけです。そもそも、それほどの意志力があるのなら、運動はすでにやっているはずです。
ですから、運動習慣が無いという人は、ハードルをとにかく低くして、今、自分にできることをできる範囲ですることをお勧めしているのです。
「散歩」「自宅のジム化」「せめてストレッチ」
以上、私がお勧めする3選ですが、これで駄目なら、もう何をお勧めしても駄目です。「運動できない」のではなく「私は運動したくない!」と言っているのです。
私はお勧めするだけで「運動したくない!」という主張も否定しません。「運動したくない!」という人を「運動させる」ことは誰にもできないし、先ほども述べたように、「健康になりたいのなら運動が必須ですよ。」というだけで、運動しないのなら真の健康状態は不可能であるということを受け入れればよいだけです。
最後は少し冷たい言い方になってしまいましたが、私は健康状態へ招待しているのです。招待状を受け取ってもらいたいのですが、受け取ってもらえなくても仕方ありません。運動したくない理由もあるでしょうから。
・・・でも、受け取ってもらいたいなあというのが本音ですよ。
おわりに
ここまで、「運動」「睡眠」「食事」のそれぞれについて簡単に説明してきました。ところが、この3つは連動しています。その連動性を説明するのはかなり難しいので、今回はそれぞれ単体での説明になってしまいました。
何かの本で「単純なことはより複雑で、複雑に見えることは単純である。」という名言に出会いました(何の本だっけな~)。
「運動」「睡眠」「食事」というのは、私たちが毎日していることであり、それほど考えなくてもできていることであり、単純作業に見えます。しかし、名言が示している通り、実はかなり複雑です。複雑過ぎてひどすぎるくらいです。
今回の健康シリーズを読んでいただき、少しでも興味を持ってもらえたのなら、健康になるための入り口程度ではありますが、お役に立てたということになるので、嬉しいです。
「もっと知りたくなってしまった!」という人は、私の力では限界があるので、どんどんネットでググってみたり、専門書を読んでみてください。
私の説明したことは、ほんの入り口に過ぎないということが理解できるはずです。そして、どんどん健康な身体になってください。私もまだ道半ばではありますが、もう少し実践を積み重ねてみようと思っています。