「お子さんは家で読書をしていますか?」という学校評価のアンケート項目の評価値は常に低いです。私はこれを見る度に馬鹿げていると感じます。「読書をしていますか?」というアンケート項目には「読書をしている子は良い状態ですよ。」という裏メッセージが存在しており、それは同時に「読書をしなければ駄目でしょ!」みたいなメッセージにもなっています。それは馬鹿げています。読書は「しなければいけない」という代物ではなく、「することができる」という代物です。同じような内容を「勉強」についても書きましたので、関連づけておきますね。
1 読書の理解
読書にはいくつもの勘違いがあります。
読書をする子になるためには、その勘違いを正しく理解するところから始めなくてはいけません(長くなりそう・・・)。
まず、読書は良いこと、有益なことであることは疑いの余地はありませんが、大人と子どもは違うという理解が必要です。大人はね、どんどん読書した方が良いでしょうけれども、子どもはね、もっとリアル体験を大切にした方が良い時期なのです。
ところが、現実はどうかと言うと、多くの場合、大人はちっとも読書しないで、子どもに読書を勧めているのです。これだけでも馬鹿げてます。
子どもに関しては、読書以外にもやった方が良いこと、楽しいことが山ほどあるはずです。読書はついでに、空いた時間にちょこっとくらいで大丈夫なのです。もちろん、読書が大好きなら読書三昧でもいいのですが、今回の記事は「読書をしない子が読書をするような子になる」ための記事ですから、例外は横に置いて話を進めます。
次に、読書をしている子は素晴らしいという勘違いを壊します。
なんでも同じですが、すれば良いというものではありません。なぜしているのかが問題なんです。読書が好きな子は、どうして好きなのかという深い理解。あるいは、どうして読書ばかりしているのかという深い理解です。
私の記事では、どの記事でも一貫して「自然体」というものを大切に扱っています。自然な姿ならどうなのかということです。
で、子どもなら「リアル体験を好む」が自然体です。生物として自然なのです。知的好奇心が喚起され、生き生きと活動(動きを伴う)ことが必須事項でなので、当然読書はついで程度になるはずなのです。
「昔から読書が好きで、たくさん読んできました!」という方がいましたので、私は興味をそそられまして「どんな本が好きだったんですか?」と聞きました。共通の話題で盛り上がろうと思ったのですが、「そうですねえ、昔から好きだったのは図鑑ですかね。人体図鑑が好きでした。」という解答が・・・。
歪んでます。別に人体図鑑が好きでもかまわないのですが、小学生の頃からたくさん本を読んできて、一番好きだったのが人体図鑑というのは、色々な意味で歪んでいます。その理由も全て説明できますが、長くなるので割愛します。
何が言いたいのかと言いますと、読書には二面性があるのです。「積極的な読書」と「消極的な読書」です。しかし「読書をしている」という状態は同じなので、どちらの状態でも読書をしているということには変わりなく、「読書」=「良い」という見方しかできないのなら、「消極的な読書」であっても「素晴らしい!」と賛美してしまうのです。
「消極的な読書」というのは、簡単に言うと「リアル体験を避けるための読書」です。「リアル体験」というのは、広範囲ですが、身体を動かしての活動だったり、友だちとのコミュニケーションだったりです。
その読書を好きだった方は、ぽろっと言っていました。
「私、友だちがいなかったので・・・。」と。
読書に関する勘違いはまだあるのですが、また文章が長くなってきましたので、先に話を進めることにします。
2 目指すべき読書の姿
この姿です。
積極的読書の姿です。
常に本が身近にあり、ちょっとした時間があるのなら、人生のついでぐらいの感覚で本を読む姿。
どうですか? こんな男性が側にいたら、女性はキュンとするはずですよ。
日常生活に溶け込んでいる読書。
生活の負担にならず、生活の一部になっている読書。
まるで空気のように存在している読書。
ここを目指しましょうね。
そして、これが読書をする子になっているということに他なりません。
読書をするのは別に偉いことでも素晴らしいことでもなく、ただ読むことができるので、読んでいるだけ。そこに山があるから登っているという登山家のようなものです。
3 読書をする子になる方法
全ての始まりは家庭です。学校よりも6年も早くスタートしています。
ですから「読み聞かせ」がスタートです。
ここをロストしているのなら、本好きになるための1つ目の障壁になります。
小さい頃から読み聞かせをすることです。
もうこれがないのなら、本を好きになることはほぼ不可能です。
絶望的ですが、「もう手遅れじゃん!」という人のために、不可能なりに可能性を見いだしてみます。
①本がある環境にする
この写真のお部屋は素敵です。オシャレですよね。
でも、本がありません。当たり前すぎるのですが、本がないのなら読むことはできません。すぐに手の届くところに本を置いておくことが必要です。
この写真は読書とは無縁です。楽しいライブの様子かな? この状態で読書をしていのなら異常です。 読書には落ち着いた空間と時間が必要です。空間と時間も読書環境ということになります。
どうしました? 悩んでますね。
心が不安定で元気がありません。
こんな状態で読書など・・・・・と思うかもしれませんが、実はこの状態は読書の可能性があります。消極的な読書の発生ですが、読書に変わりはありません。
これは・・・電子読書かな?
是非、紙ベースの本にしてください。なお、ゲームという場合もありまして、それは読書環境の最大の敵のひとつです。
②親が本を読むこと
親が上の写真のような状態で「読書をしよう」は起こりません。読書には心の安定も重要な要素だからです。ですから、親の下のような写真の姿を見せることです。
読書が生活の一部になりきっています。
本来の仕事があるだろうに(この場合は正義のために働く)、ちょっとした時間に読書をしています。この親の姿を見せると、子どもにとって読書は興味の対象です。まあ、このような親の場合、最初の関門である「読み聞かせ」もしていますから、極端すぎる例になりますが、まずは親自身が体験することが活路になりますね。
③読書タイムを作ること
学校でやっていることで、最も効果があるのは「朝の読書タイム」です。
これは経験上、かなり有効です。
読書好きが生まれる可能性も多いにあって、実際、この読書タイムによって本が身近になります。ついでに学校図書館で本を借りる時間とかも作れば効果は倍増します。
これをご家庭にも取り入れることです。
寝る前の10分とかでいいと思います。
寝る前なので、落ち着いた雰囲気にもなります。
だから、テレビを消してくださいね。
最後になりますが、読書はしなくてはならないものではありません。
読書をする事ができるありがたい環境に日本はあるということです。
もし、お子さんに本好きになってもらいたいのなら、読み聞かせが一番の近道ですが、できないのなら、読書環境をつくることです。たまに一緒に本屋さんに行って、本を買ってあげるのもかなり有効です。
そして本は安いです。
「いやいや、高いでしょ!」という声が聞こえてきそうですが、安いです。
そのことについては、またいつか記事にしようと思います。
今回も、最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。
なるべく短くと思っていましたが、3000字を越えてしまいました。
次こそは短めに書きますので、嫌気がさしていなければ、またお付き合いください。