Nayunayu先生 ~愛のある教室~

現場教師の24年間の実践理論

教材研究論

 教材研究というのは、授業の前にあらかじめ準備をしておく研究です。研究という言葉が重々しいですが、「どうやって授業を展開しようかしら?」という準備であり、主な働きは「課題の設定」「主発問と指示」「流れや活動内容」「どんな力をつけるか」といった具合に、実に多岐にわたります。

 教師以外の人は全く興味のない分野ですが、教育特化ブログですから、少し真面目に書いてみます。・・・実は私も書きたいほどの興味はないのですが、教師にとっては役に立つ記事になります。

 まあ、やる気無い感じで真面目に書きますね。

 

1 教材研究の時間はほとんどない

 まず、最初に教育現場の実態を言うのなら、教材研究にさける時間はほとんどないというのが現実です。時間は無いけど「教材研究」は「一応大切」です。

「一応」というのは、ある程度授業ができるまでは必須であり、かなり力をつけるまでは必要であり、めちゃめちゃ力をつけたらたまには必要というように変化するものだからです。

 一応大切で、一般的には最重要ぐらいに位置づいている「教材研究」なのに、なぜ時間が取れないのかと言いますと、それは「教材研究」の優先順位が低いからです。本当は大切な事ほど優先順位が低くなりがちというのは、教育に限ったことではありません。目の前のものに翻弄される昨今の世の中では、一般的現象でしょう。

 実際の学校現場での優先順位は、私の解釈では次の通りです。

1位 授業(教師の仕事で、1番時間を使ってますから)。

2位 学年便りや学級通信などのお知らせ文章作成(これも時間がかかる)。

3位 何らかの会議(学年打ち合わせなども入ります)。

4位 教室の片づけ(作品の整理なども含みます~やらない人もいますが~)。

5位 各分掌のお仕事(教務とか研修とか保体とか生徒指導とかです)。

 まだ最重要である「教材研究」は出てきませんね。

 上記の事は、毎日のようにあります。そして、それらが終わった頃にはヘトヘトです。書いていませんが、場合によっては保護者連絡やら様々な書類作りなどもあったり、時期によっては運動会や遠足、学芸会などの準備が入ったり、評価業務というものがあったりもします。そして、訳の分からない「自己評価してください」とか「学校評価してください」とかもあります。

「教材研究」というのは、それら「必ずやらなければならないこと」を終えた後に取り組むことのできるものなんです。「教材研究」は目に見える形では残りませんし、1つの授業を終えたら消えてしまいます。それに対して、上記で紹介した業務はすべてしなくてはならないもので目に見えますし、学級運営上も学校運営上も必須事項なのです。

 ですから「教材研究」の時間というのは、普通はほとんどありません。

 

2 教材研究はいつやるのか

 限られた時間の中で「教材研究」をする時間は無いものでしょうか。

 実はあります。毎日の中には無いのですが、毎日ではないところにあります。

 つまり休日です。長期休業中です。

 お休みなのに仕事をするなんて「トンデモナイ!」と思うかもしれませんが、最初にも述べたように、授業ができない人にとっては「必須」です。できるようになってきたら「必要」で、めっちゃできるようになったら「たまには必要」という類のものなんです。

 私の解釈では、かなり頑張ったとして、ある程度の授業ができるようになるためには、だいたい3年ぐらいはかかります。ですから、3年間はかなり頑張らないと、ある程度の授業はできません。これは断言してもいいでしょう。授業がうまい人に聞けば、程度の差はあるでしょうけれども、たぶん、だいたい同じようなことを言うはずです。

 なにも努力しないで教師の授業力が高まるというこは絶対に起こりません。授業がうまい人は、かならず何らかの努力を通過していますよ。

 

3 何をどうやって研究するのか

「研究」という言葉が、実はあまり実態に合っていないな~と私は思っています。「研究」ではなく「勉強」とか「学び」の方がピッタリです。

 まあ、それは横に置いておきまして、具体的に「教材研究」とは、一体全体どのようにやれば良いのかというお話をします。

 一般的には、教科書の赤刷りの本を読んで、内容を理解して、それを自身の授業の中でどのように展開するのかの青写真を描ければ終わりです。最初のうちは紙に書くこともしたりして、それを「略案」と呼び、本格的に書くと「指導案」と呼んでいます。

 ところがね、1日の授業は5時間~6時間あるわけですから、毎日5枚も6枚も指導案を用意するなんていうのは、誰にも出来ないのです。時間的にもモチベーション的にも物理的にも、すべてにおいて不可能です。

 そこでとりあえずの順番があるので、お勧めする順番を紹介します。

 まずは「国語」です。なにはともあれ「国語」をやらないと話になりません。

 全ての教科の基本は「国語」です。低学年であれば、一日に2時間とか入りますし、高学年になっても、ほぼ毎日「国語」があります。標準時数も「国語」が1番多く、2番目が「算数」です。

 ということで、次は「算数」です。国語ばっかりでは飽きてしまうので、たまには算数という具合でもいいでしょうけど、算数の研究も優先度が高いです。このとき「問題解決型」という言葉に出会うはずです。その言葉に出会えたらチャンスと思ってください。その理解はあらゆる教科へ波及します。

 それで、国語と算数を一生懸命やれば、自分なりの勉強方法が確立し、応用を効かすことのできる力がついてきます。ちなみに、国語と算数は本質的に違うということを理解してくださいね。高校でも「文系」と「理系」があるように、それぞれお友達がいます。社会は国語とお友達で、理科は算数とお友達です。

 順番が整理できたら、とりあえず「図工」とか「体育」とか「音楽」は後回しにして、毎日少しずつか、休日や長期休業中に一気にやるかすることです。

 少しコツがつかめてきましたら、他の教科にも興味が出てきますから、後回しにしている教科があっても、やったりします。

 

 次に、何を使ってどう勉強するのかというお話をします。

 一般的には教科書の赤刷りです。ただ、これは手軽にあるので、誰でも使えるということで一般的になっているだけです。その根本は「学習指導要領」です。これが原本であり、教科書は「学習指導要領」を具現化するための道具に過ぎません。

 ですから、学習指導要領はかならず購入する必要があります。学校にも必ず置いてありますが、安いので自分だけの指導要領を買うことをお勧めします。ちなみに、10年に一度改訂されます。

 で、学習指導要領は一体何が書いてあるのかと言うことになりますが、大きく2つのことが書かれています。

 1つ目は、各教科の最終目的地と、そこに至るための道筋(目標)です。

 各教科の目的は、それぞれが教育の最終目的地への道筋、つまり目標にもなっています。つまり、体系的に各教科がどのように位置付いているのかが分かります。

 さらに教科だけでなく「道徳」「特活」「総合的な学習の時間」との連動及び、知・徳・体の総和の重要性も示しています。

 2つ目は、学年ごとの系譜が書かれてます。

 1年生の「足し算」が2年生の「かけ算」と繋がり、3年生の「わり算」へと展開・・・それが6年生の「通分」や「約分」へ・・・みたいなことが、全ての教科について書かれています。ちなみに、体育や図工などは2年間での系譜になっています。

 

 「教材研究」というと、一般的には「明日の授業をどうしましょうか?」ということに終始してしまいがちですが、それでは不十分なのです。

 本当に本質的なことをやるのなら、その授業がどこに位置付いていて、どこを目指しているのかという全体像を知る必要があります。全体像がおぼろげに見えてきたのなら、授業がすでに上達していますから、教材研究の時間は減ります。

 何がポイントで、どこが重要かが分かるレベルに達するので、それほど準備をしなくても良い授業ができるようになります。ただし、その域に達するまでは、どうしても勉強は必要です。

 大変なんですけどね、毎日、チマチマやる+休日にしっかり取り組むが必須なんです。この大変な時期をきちんとやらないと、教師を続けるのなら、生涯にわたって大変になりますので、勉強する時期としては若いときが最重要なのです。

「若いときの苦労は買ってでもしなさい。」という教訓を聞いたことがありませんか? 名言ですが、誰が言ったのかは知りません・・・。

 

4 まとめ

 話がややこしくなってきましたので、まとめておきます。

1 教材研究をする時間はほとんどないが、必須である。

2 時間が無いので、休日とか長期休業期間が狙い目である。

3 毎日チマチマやることも必要なので、優先順位を意識すること。

4 第1位は国語で、2位は算数。他の教科の勉強方法は派生するので大丈夫。

5 教科書の赤刷りが一般的だが、学習指導要領は購入すること。

6 学習指導要領で全体像を把握すること。

7 全体像が把握できたら、授業で大切な事が分かってくる。

8 できるようになってきたら、教材研究の時間は少なくなってくる。

 

 本当におおざっぱですが、こんな感じでしょう。

 違うやり方もありますから、最短ルートの1つぐらいに押さえてくれればいいとおもいます。ちなみに他のやり方としては、先輩教師に聞きまくるとか、授業を見てもらってビシバシ意見を言ってもらうとか、読書をしまくって本質をさぐるとか、研究団体に所属して指導案を書きまくるとか、まあ色々あります。そして、それらは複合的に取り組むことになりますから、どれか1つということでもありません。

 本当は分かれていない事柄を、あえて分けて説明しているのです。

 自分にあったやり方というものあるでしょうから、色々試してほしいです。 

 

 何もしないで「素敵な先生」にはなれません。不可能です。

 素敵な先生とは何かということもありますが、教師の仕事の8割は授業で、一日のほとんどが授業ですから、この8割を占める仕事をきちんとできるようにならないと、素敵な先生にはなれないことは当然です。

 私も今だに勉強し続けています。教材研究をしているということではないのですが、教育に関することの勉強は24年間、ただの1年も、ただの1ヶ月も欠かしていないという自負があります(数週間ぐらいはさぼりますが・・・)。

 今回の記事が、教材研究をするための何らかの羅針盤になれたら嬉しいです。

 本当に、書いている私が面白くない記事を、最後まで読んでいただき、心より感謝致します。ためにはなると思いますが、真面目に書いているので、面白くはないでしょうね・・・。でも、教育ブログなんで・・・。たまにはね。