Nayunayu先生 ~愛のある教室~

現場教師の24年間の実践理論

邪魔をしない子育てのすすめ

 先日、ブックオフという古本屋さんで本を見ていたら、ある家族の会話が聞こえてきました。たぶん4歳か5歳くらいの女の子がお母さんに言います。

「この本、ほしいから買っていい?」

 するとお母さんは

「えー、この本? いくらするの? ・・・うーん、買ってもいいけど、それ買ったらお金なくなることも考えてね。」

 すると女の子は本を戻してしまいました。

 幸せそうな家族の場面とも見えますが、私は「なんでだ!」となりました。

 じゃあ、なんで連れてきたのかな?

 では、どんな本ならいいのかな?

 そもそもお金を何に使うならOKなのかな? ・・・等々。

 私には悲しい場面にしか見えませんでした。

 だいたいね、反対し過ぎなんです。

 古本屋さんで反対するということは、おそらく、ありとあらゆるところで反対している事の一端が垣間出ただけです。

 子どもって、なんでも経験したがります。

 自分でやってみたいという衝動が備わっており、すべて必要です。

 それを邪魔さえしなければ、子どもはすくすく育つのですが、私の見る限り、多くの家庭では、本当にありとあらゆることに反対してしまっています。

 それは自分で選択するということの否定であり、自分で選ぶことのできない子に育てていることであり、自分は自分で決める力などないとする自己否定感の育成をしているのです。

 そうして、馬鹿らしいことに、ある年齢になったら突然

「もう○○歳なんだから、それくらい自分で決めなさい。」とか

「自分で考えて、それぐらいなら分かるでしょ!」とか言っちゃいます。

 ある日突然か、ある場面で突然なのか・・・。時と場合によるでしょうけれども、親の気まぐれで言っているという点では同じであり、自分で選べない、自分で考えられない子に育ててきたという結果の現れに過ぎません。

 もちろん、親が止めなくてはならないことはあります。親がすすめることもあります。我が子にすくすく育ってもらいたいからという善意も分かります。

 ですから「邪魔をしない」ことを強くお勧めします。

 全てを許可するということではないのです。子どもがやりたがっていることを邪魔しないということです。この辺の理解は少しややこしいのですが、ある程度の指針は示せそうなのでやってみますね。

 

【これは邪魔をしてはいけない】

・楽しく遊んでいる。

・自分で考えている。

・自分でやろうとしている。

・自分で選ぼうとしている。

・ダラダラとのんびりしている。

 これらのことは邪魔をしないで、後押ししてください。

 

【これはぜひ邪魔をしてください】

・テレビやゲームに夢中。

・お手伝いをしない。

・生活習慣が乱れまくっている。

・好き嫌いが多い。

 これらの放置は、ほぼネグレクトです。見守るとはほど遠い。

 許可してはいけないことを許可し続けると、最終的にはこうなります。↑

 

 本当におおざっぱですが、具体的な場面にすると書ききれないのと、混ざってくるので、あとは自分自身の経験を当てはめてみてくださいね。

 

 一緒に働いている支援員さんから聞いた話です。

 ある家族の赤ちゃんが、お買い物中に泣き出したんです。すると、お父さんが慌てて赤ちゃんを抱っこ。ここまでは美しい?(本当はお母さんがベスト)のですが、お父さんは泣き止ますためにスマホを取り出し、その赤ちゃんが興味をもちそうな動画を見させて泣き止ませていたそうです。

 一緒に働いている支援員さんは、すでに子育てを終了しているので、自身の経験と比べて「最近の子育てって、こうなんだ~って思っちゃいました。」とやや否定気味の感想を語りました。私も否定で同感です。

 これ、実は邪魔しているのです。

 赤ちゃんは動画が見たくて泣いたのではないのです。

 お父さんに抱っこしてもらいたかったのかな?

 本当の訴えがなんだったのかは、その場にいなかったので分かりませんが、少なくとも「お父さんに抱っこされて動画が見たい」ではないはずです。

 とりあえず公共の場だから一時しのぎのためなら大丈夫そうですが、それが日常的にあるとすれば、子どもの願いを叶え続けないという邪魔をしています。

 このように、本当にやりたいことの代用品を与える事も邪魔をしているという理解が必要なので、今回のタイトルである「邪魔をしない子育て」というのは、なかなか奥が深いのです。

「邪魔してないって!」と思っていても、よくよく考えてみれば「邪魔・・・してたかも?」となることがあると思いますが、そこに気づけたのなら、健全な子育てに近づくことができますよ。

 負担にならない程度にやってみてください。