Nayunayu先生 ~愛のある教室~

現場教師の24年間の実践理論

備蓄食品 ローリングストックの一考察

 東日本大震災から12年経つそうです。毎年、3月になると地震にどう備えるのかという特集番組が報道されます。とても大切な事だと思います。南海トラフ地震の危険性は、今後30年間で70%の確率ということでしたが、歴史を見る限りもっと高い確率だと思われますから、どのように備えるのかは、とても大切な事です。

 さて、今回はその中の「備蓄食品」について、ローリングストックという考え方を推していましたので、そのことについて、若干の考察を述べます。今回の記事が「役に立った!」という人もいるでしょうし「役にたたん!」と思われる人もいるかもしれません。賛否両論でいいと思っています。少なくとも、備蓄食品について考える機会になれば、それは役に立ったということになりますから。

 

1 備蓄食品は何を備蓄するのか

 食品には全て消費期限、賞味期限というのがあります。

 ですから、備蓄食品だとしても期限があります。ある程度のところで消費しなくてはならない。そこで、新しい備蓄食品を買ったら、古い備蓄食品を食べて、常に備蓄状態にしましょうというのが「ローリングストック」という考え方だそうです。

 では、何を備蓄するのでしょうか。

 少し調べてみましたら、おおよそ次のようなものです。

・レトルト食品

・常温で保存可能なもの

・乾燥した物(カップ麺なども)

・要は長期保存が可能な物。

 ですから、ぱっと思いつくのは、パスタや缶詰、カップ麺やレトルト食品、冷凍食品なんかもそうかな? それからスナック菓子などでしょうか・・・。

 

 さて、ではどうして備蓄するのでしょうか。

 そんな当たり前なことと思われるかもしれませんが、物事は常に根本を問うということが大切なのです。

「自然災害に見舞われたときに、食べるものを確保するため」という解になるでしょう。では、何故食べるのか?と問われれば、「栄養を確保するため」と、これまた当然の解に至ることでしょう。食事というのは本質的なことを言えば、身体に必要な栄養素を取り入れるための行為です。

 今回はこの「栄養を確保する」を考察します。

 

2 必要な栄養って何のことを言っているのか?

 人が必要としている栄養とは何でしょうか?

 一般的には、タンパク質、炭水化物、脂質、ビタミン、無機質ということになっています。その中で、炭水化物については心配する必要はありません。砂糖=炭水化物ですから、どの食品にもほとんど含まれています。これがカロリーとなりますから、カロリー不足は起こりません。心配なら砂糖を置いておけばいいだけですから。

 そうすると、災害時に必要な栄養というのは、ビタミンやミネラル、そして良質な脂質になるでしょう。タンパク質も必要ですが、良質な食品ならタンパク質はある程度、何にでも入っています(本当はね・・・)。

 ということで、備蓄しておきたい栄養とは「ビタミン」と「無機質」と「脂質」になります。まあ、もっと単純に覚えるのなら「ビタミン」と「ミネラル」でいいでしょう。食物繊維などもここに含まれますし、必須アミノ酸などもここに入ってきます(必須アミノ酸はタンパク質になりますが、ビタミンとミネラルをきちんと取れる食品なら含まれていますので・・・)。

 では、レトルト食品やカップ麺などには、どれぐらいの栄養が入っているのでしょうか。私は色々と調べて自分の身体でも実践してみた結果、それらの食品に含まれている本来必要な栄養素は、控えめに言っても「壊滅的」であるという結論です。しかも、長期保存を可能にするために保存料が含まれています。食品添加物もめちゃめちゃ入っています。

 つまり、レトルト食品やカップ麺などは、身体のことを考えれば、なるべく摂取しない方が良い、普段からなるべく避けるべき食べ物なのです。

 冷凍食品はどうかと言いますと、それも本来的には避けたい。冷凍することで、分子構造が変化することはご存じの方も多いと思いますが、本来持っていたはずの栄養素をかなり破壊してしまいます。

 そして鮮度。新鮮な食べ物が身体に良いということは、なんとなく分かる人も多いと思いますが、実は食べ物を栄養素としてだけで考えるのは間違っています。私たちは命を頂いているのです。命のないものは食べることができません。

 アメリカ式栄養学が戦後日本に入ってきたため、食べ物を栄養素としてだけ扱うようになっていますが、はっきり申しあげますと間違っています。

 生命そのものをいただいているのです。生命、これをプラーナと言うそうですが、新鮮であればあるほど、そのプラーナは健在しています。生命を頂いて生命力を高めているというのが、健康的な食事ということになります。ですから、長期保存すればするほど、プラーナは減少し、同時に食品添加物などが入っているのなら、もう食品としてはハチャメチャだということになります。

 私は、「ローリングストック」という考え方には賛成していますが、そのストックする食品が栄養のないものであるのなら、それを一定期間に食べ変えるということを続けるということになり、普段の食事から栄養不足のものを食べ続けるということに繋がるので危険だと考えます。

 さらにもう少し付け加えるのなら、身体に悪い食べ物や食品添加物を消化するためには、多大なエネルギーを必要とします。ただでさえ災害時には疲労が溜まるのに、食べたものにも消費エネルギーを使うわけですから、より深刻です。

 ついでですから、言いますけど、災害時には心労というものがあります。これは心の状態ですが、要は不安感や緊張感などが伴います。その状態になると、身体は緊張状態に対応するためにあらゆる変化が起こります。詳しくは述べませんが、ごく簡単に栄養のことだけを言うのなら「食べたものをきちんと消化しにくい身体になる」と覚えておくと良いでしょう。

 とりあえず、以上の理由から私は、ローリングストックの考え方には賛成しているが、何をストックするのかについては安易に考えない方がよいという結論に至っています。

 

3 お勧め備蓄について

 では最後に、何を備蓄しておくと安心なのかということについての私見を述べさせてもらいます。あくまで私見ですからひとつの例です。

 

 まず、私が考えるに絶対に必要な物は「カセットコンロ」です。

 これは普段から使えますし、ライフラインが途絶えても、火を起こすことができる上に、明かりにもなりますし、熱も生み出しますから、防寒にも役立ちます。そして人は火を見ると安心するという特性もあります。もう、これさえあれば、ある程度なんとかなります。しかもお値段も3,000円ぐらいですし、ガスもそれほど高くありません。少し多めに買っておいても、どうせ使いますから無駄になりません。

 

 次に、私が考える最重要食品は「水」です。人は何も食べなくても水だけで数週間は死ぬことはありません。お腹は減るでしょうけれども生命に関して言えば、水さえ飲んでいれば数週間は大丈夫です。

 水を備蓄というのは、本当に簡単ですから、2つ紹介します。

 1つ目はお風呂の水です。お風呂に入ったら、次に入る時まで捨てないで湯船に残しておくことです。そうすれば大量の水があることになります。食品には使えませんが、トイレなどには使えます。

 2つ目は水道水の水を備蓄です。これはホーマックなどのお店に行けば、20㍑ぐらいの水専用タンクが1,000円ぐらいで売っています。それに水道水を入れて、1週間ぐらいで入れ替えておけば大丈夫でしょう。水道水なのでお安いですし、水道水は塩素が入っていますので、身体に良いか悪いかは別として、かなり日持ちします。

 

 以上の2つ「カセットコンロ」と「水」があれば、とりあえず大丈夫なんですが、もう少し食品も・・・ということであれば、次にあげる食品がオススメです。

 

①玄米(白米でもまあ、いいですけど、できれば玄米)

 カセットコンロと水があれば、炊くことができます。そして「玄米」には食物繊維が豊富で、生命力(プラーナ)も豊富に残っています。白米をずーっと水につけっぱなしにしておくと腐りますが、玄米をずーっと水につけっぱなしにすると芽がでます。それは生きているからです。

②豆類(黒豆や小豆など)

 保存料など使わなくても、そもそも長期保存できます。そして玄米同様に生きています。玄米に混ぜて炊くことで、良質なタンパク質を摂ることもできます。

③芋や大根、人参などの根菜類

 これも保存料を使わなくても、かなり長期保存できます。そして普段から使うような食材です。ですから、ローリングストックという概念からすれば、最も適している食材と言えるでしょう。

④みそ

 なるべく良い味噌を普段から使いましょう。ホンモノの味噌はそもそも長期保存できます。安くはありませんが、普段から使うので健康によいです。

⑤ナッツなど

 アーモンドやくるみ、ピーナッツなどのナッツ類は、栄養価が高く保存できます。普段から食べているといいですよ。良質な脂質を確保出来ます。これもローリングストックに適していますが、普段から食べるか?という問題はありそうです。

 

 極めて重要なポイントを付け加えますと、普段から自分で料理することが「ローリングストック」には必須であるということです。コンビニのお弁当やスーパーのお総菜ばかりを食べているのなら、上記のローリングストックはできません。レトルト食品とかカップ麺を備蓄という考え方は、実は普段からの食生活の一端の現れに他なりません。一度、自分の食生活を見直してみることが、健康に良いローリングストックの第一歩になるでしょう。

 

最後に・・・「自然災害と共に生きる」と覚悟すること

 地震などの災害は、起こらない方がよいのですが、日本に暮らす限り避けて通ることはできません。5年生社会でも「自然災害と共に生きる」という単元があります。自然災害をなくすのでもなく、避けるのでもなく、「共に生きる」のです。

 自然災害はなくせません。地球が生きているからです。地球は呼吸するように様々な現象を起こします。そこにたまたま人が住んでいるので「自然災害」になるだけで、人が居なければ「災害」にはなりません。ただの「自然現象」です。

 だからこそ、人がそこに住まわせてもらっているという感覚が必要で、人が自然状態に合わせて共生するという覚悟が大切なのです。

 東日本大震災から12年。備蓄だけでなく、災害時の避難経路の確認や連絡方法の確認、家財道具の耐震準備など、本当はやることがたくさんあるのですが、残念ながら教訓というのは風化していきます。油断してしまいます。

 毎年、この時期に、地震特集を組んでくれるテレビ番組感謝しながら、今回の記事を終わります。最後まで読んでいただき、ありがとうございました。少しでも備蓄について考えるきっかけになっていただけたら嬉しいです。