Nayunayu先生 ~愛のある教室~

現場教師の24年間の実践理論

心を整理する

心を整理する


 物を整理するのは見えるので分かりやすいのですが、心を整理するのは見えないので、なかなかその必要性すら感じないのが一般的です。しかし、物を整理しないとぐちゃぐちゃして落ち着かないのと同様に、心も整理しないと、ぐちゃぐちゃしてしまって、様々な悩みの温床になってしまいます。そして、私自身も含めて、この心を整理するということはおろそかになりがちであり、気づきにくいことであり、モヤモヤした気持ちが絡み合ってどうしようもなくなってしまいます。

 

 以前、「心の磨き方」という記事を書きました。これは端的に言うと、自分の心の器を大きくしたり、自分の心の器を磨くという作業になります。 

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 これに対して、今回の「心を整理する」は、心の器自体は変えないで、中身を整理してすっきりさせるという内容になります。ですから、磨くよりは簡単です。簡単と言っても、簡単ではありませんが・・・・。

 

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心を整理するとは何か

 まず、心を整理するとはどういうことかを簡単に説明します。

 一言で言うならば「捨てる」ということです。できることと、できないことをはっきりさせるとか、大切な物とそうでない物を選別するとか、本当に大切な物以外を軽視し、大切な事に焦点を当てるとか、全体を見通して、重要項目は何かをはっきりさせるとか、様々な表現はできそうですが、一言で言うと「捨てる」です。

 

 これを物で考えてみればよく分かると思います。

 散らかり放題の部屋を整理するとして、いる物といらない物を選別し「捨てる」。捨てることで新たなスペースが生まれ、物をきちんと整える。そうすると、大切な物とそれほど重要ではないけれども、後々使いそうな物によって整える場所が変わる。そうしてすっきりした部屋にいると、エネルギーが貯まり、何かやろうかな?という気持ちにもなります。

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 では、目に見えない心の中にあるものをどのように捨てるのかということを説明していきます。いくつかポイントがありますが、自分にとって有効だと思えるものを実践すればOKです。全部やってもいいし、少しやってもOKです。

 部屋の一部を片づけたら、その一部は整理されるように、心も整理した部分はすっきりしていきます。仕事関係、対人関係、健康問題、喪失問題など、心を占めている分野は多岐にわたるでしょうから、一度に全てを片づけること自体が難しい。ですから全てを一度にやらなくてもOKだということです。

 それから、整理するにも、実はエネルギーが必要なので、エネルギーが無ければ整理できないということもありますからね。

 

心を整理する方法

①マイナスに気を取られないようにする。

 たいていの場合、たいしたことではない問題をたいしたこととして認識してしまいます。例えば、テストで30点だったとしたら、すごい問題だったとします(あくまで例えですが)。しかし、よくよく考えれば、まず、30点は取れたのです。70点足りないと思えばマイナス。30点取れたと思えばプラスです。

 店の売り上げが下がったことに気を取られるとマイナス。だけど、売り上げはあるということに目を向ければプラスです。

 今あることに意識を向け、大切にしていくという風に心を整えることです。

 

②何が大切なのかを自問自答する。

 人はたいてい、ごちゃごちゃと考えます。考える事に捕らわれて、身動きが取れなくなってしまいがちです。そこで、何が大切なのかを自分で納得するために、自問自答していくのです。

 例えば、仕事がうまくいかなかったとして、その仕事がうまくいかなかったら、何が大変なのか。その大変な理由は自分にとって生涯を棒に振るような出来事なのか。例え棒に振ったとして、それは死ぬような問題なのか・・・と、その問題が自分にとってどれぐらい重要なのかを自問自答すると、ほとんどはたいしたことはないという事に行き着きます。

 私は読んでいませんが、少し前に『死ぬこと以外かすり傷』という本が平積みされていたのを見たことがありますが、おそらく、そういうことを言いたいのじゃないでしょうか。 

死ぬこと以外かすり傷

死ぬこと以外かすり傷

  • 作者:箕輪 厚介
  • 発売日: 2018/08/28
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 

③現実、ありのままの自分とありのままの現象に向き合う

 多くの人は、ありのままの自分を否定し、ありのままの現実をありのままには見ていません。どういうことかと言いますと、自分の色眼鏡で自分も世界も見ているといことです。誰かが自分の事を否定してきたら、みんなが自分のことを否定しているような錯覚に陥りやすいということです。

 でも、よくよく考えれば、そんなことは起こりようもなく、誰かに好かれることもあるし、誰かに嫌われるようなこともあるでしょうけど、全員に好かれるということも、全員に嫌われるということも、実はあり得ません。そういうきちんとした現実をしっかりと見るということです。

 世間の評価は一度横に置いておいて、自分自身で、よくよく考えてみる。自分が嫌われていることに悩んでいるのなら、本当にそうか?と。自分が仕事ができないのなら、本当にそうなのか?と。もし仮にそうであったとしても、最初に戻って、その問題はどれぐらい重大なことなのか?と問いかけてみることです。

 すると、けっこう、たいしたことなかったということにもなります。

 

④誰の問題なのかをはっきりさせる

 その問題だと思っていることは誰の問題ですか?と自分に聞いてみます。あるいは、その問題は誰の課題ですか?と訊ねてみる。例えば、子どもが勉強をしないのは誰の問題なのか。答えは子どもの問題です。例えば、友人から相談を受けている。もちろん、それは友人の問題です。例えば職場の人から嫌がらせを受けている。それは自分に関わりそうですが、嫌がらせをしていること自体は職場の人の問題であって、自分はそれを嫌がっているということが自分の問題です。

 そうやって分けて考えていきます。

 

⑤自分の解釈の問題なのか、完全に外側の問題なのかもはっきりさせる

 心を散らかす多くの問題は、たいていは自分に関係があるような気になります。実際、そうであることが多いのですが、それもすっきりと整理します。自分の解釈で散らかっているのか、自分の力が到底及ばない外側で散らかっているのかを分けるということです。

 例えば仕事。あれもやらなくてはならないし、これもやらないといけない。たくさんあって大変という場合、たくさんあって大変!と思うこともできるし、たくさんの仕事をまかされるのは信頼されているから嬉しい!と思うことも出来ます。これが解釈の問題。そして、自分の能力を考えれば、到底無理なら、そもそも無理なのだから外側の問題です。無理なら無理と言ったり、誰かに協力をお願いするということができます。

 

 

 

まとめ

 心を整理するというのは、自分を襲っているごちゃごちゃしている考えの原因を把握するということでもあります。自分がなぜ、ごちゃごちゃ考えて、思い悩んでしまうのかをはっきりさせるというが、整理するということです。

 原因も分からずにモヤモヤした気持ちになってしまうのは、ごちゃごちゃし過ぎて、どこから手をつけて良いか分からない状態であるとも言えます。

「ステラレネーゼ」という人たちがいます。とにかく物を捨てられない。そして部屋中がごちゃごちゃしている。必要な物も不必要な物も、すべて「必要です!」と言ってしまう人。それはそれでかまわないのですが、そんなにたくさんあったら、何が大切な物かも自分で把握していないということは起きてしまいます。

 心も同様です。ごちゃごちゃと考えてしまって、何とかしたいと言う人は、一度、自分の中にある見えない心の中身を整理するとすっきりすると思います。

 部屋と同じで、一度すっきりさせても、また散らかるんですけどね。

 そしたら、また整理すればいいだけです。

 部屋の整理が習慣にすると良いように、心の整理も習慣にすると良いでしょう。