Nayunayu先生 ~愛のある教室~

現場教師の24年間の実践理論

高嶺の花

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 NHKで放映されている「アンという名の少女(赤毛のアン)」は、本当に名作すぎます。シーズン3もそろそろ終わりそうなので、寂しい限りです。できることなら、全てを忘れて、またはじめから観たいと思わせてくれる名作なんです。名作すぎるので、アンに関する記事としては4回目になります。今回の主人公は、アンの親友であるダイアナです。ダイアナは男子諸君にとっては「高嶺の花」の存在です。高嶺の花であるダイアナの物語から、高嶺の花であるが故に持つ現実や悩みについて考えさせられましたので、お裾分けします。

 

高嶺の花はチヤホヤされない

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 ダイアナの一家は裕福な名士の家系で、アボンリー地区では名家として通っています。お父さん、お母さん、そして妹のミニーメイちゃんの4人暮らしです。容姿端麗、頭もよく、育ちもよく、さらには性格もよいので、一般男子にはちょっと手がだしにくい「高嶺の花」なんです。

 アンの通っている学校では、ある年齢になると、パートナーの青田買いをする風習があるらしく、男子から女子にアプローチをしてカップルとなったら、それを宣言して、他の人が寄りつかないようにしているようです。女子側がOKするかどうかと言う問題はありますが、要は「早い者勝ち」みたいな感じかな?

 ダイアナは花ですから、当然、男子が近寄ってきます。

 しかしダイアナはあまり乗り気ではありません。

 しかも、周りにいるお友達(女子)から、その勇気を振り絞って近寄ってきた男子に「ダイアナは君には無理だよ。」みたいな事を言われちゃったりします。

 

 現象1 高嶺の花は同姓からなぜか不必要に守られる。

 

 しばらくたった頃、同じクラスの太めの女子がモテ始めます(太めめだからダメということではなく、そのお話では明らかにダイアナの方がモテそうなのにという設定です)。しかも、以前ダイアナにアプローチしていた男子だけなく、さらにもう1人が猛アプローチしているのです。

 その状況に、ダイアナは全く動じていないという設定です。だから、ダイアナがどうということではなく、男子は「高嶺の花」だとあきらめやすいということです。そして、ダイアナの代わりに選ばれた女子が2人の男子からちやほやされて嬉しそうにしています。

 

 現象2 高嶺の花はちやほやされないし、あきらめられやすい。

 

 実はダイアナは深く悩んでいるので、恋話どころではないのです。

 卒業を間近に控え、クラスの仲間は同じ学校へ進級するのですが、ダイアナの家は名家であるがゆえに「花嫁学校」というところに進級させるということなのです。この時代は、よい花嫁になることが幸せだという教えのようです。

 これをダイアナは嫌がっているのです。両親へ直談判もしますが、全く受け取ってもらえず、イライラしています。

 

 現象3 高嶺の花は両親にレールを敷かれている。

 

 他にも、アンは馬に男の子のように乗りますが、ダイアナは女性らしく乗ることを言われていたり、池で遊んでいたら母親に叱られて連れ戻されたりと、かなり制限が多い生活をしています。

 

 現象4 高嶺の花は常にお行儀よくしていなければならない。

 

 

高嶺の花が心から望んでいること

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 イライラしたダイアナは、お手伝いさんと一緒に買い物へ行きます。外に出たいからです。分かってもらえない両親と一緒にいたくないのです。

 そして、いろいろありまして、町外れのお店に行ったときに足をくじきます。

 そのお店は、アンの家に働きに来ているジェリーという少年の家族の家です。大家族で上品ではないけど楽しそうな家です。

 ダイアナは、足の怪我はたいしたことないのに、歩けないということにして、ジェリーの家に泊めてもらうことにします。夕食時には家族みんなで歌ったり踊ったりすることにも参加します。

 ジェリーが「君みたいな子が、こんな場所でおもてなしもできなくてごめんね。」みたいなことを言ったとき、ダイアナは言います。

「素晴らしい家族だわ! 私は今、とても大切な経験をしているの!」

 ジェリー:「大切な経験って?」

「自由よ!」

 

 その後、ダイアナの両親が慌てて馬車でやってきて、ダイアナは連れ去られますが、ダイアナは大満足し、その後、ジェリーに惹かれていくことになります。

 ちなみに、ジェリーは素敵な男の子なんですが、アンは何故かいつも憎まれ口を叩いています。アンはジェリーにだけは辛口なのです。

 

現象5 高嶺の花は自由な感じに惹かれる。

 

自分の人生は自分で決める

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 今回のお話は、高嶺の花というタイトルですが、「人は自分の人生を自分で決めたい」というのがテーマです。たとえ親がよかれと思ってやったとしても、子どもは自分で決めたいのです。自分が決めたことを応援してほしいのです。

 両親に大切に育てられ、きちんとした家庭のお嬢さんが、全く環境の違う人に心惹かれるということはよくあります。ただ、両親が猛反対するので、たいていの場合は実りませんが・・・。

「高嶺の花」という存在は素敵ですが、その本人は周りからの期待値が高かったり、家柄に縛られたり、おしとやかにしなければならなかったりと、大変であるということが、ダイアナの抱える葛藤から垣間見ることができました。

 

「アンという名の少女」は、人間模様が複雑過ぎるほど複雑に絡み合っており、その描写の素晴らしさや、真実の姿を見ようとする登場人物達の姿に感銘を受けます。他の登場人物も、それぞれの物語があるので、前回までに書いた記事にも立ち寄ってみてください。

第1回 フィリップ先生編

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第2回 バッシュとメアリー編

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第3回 アンとマリラ編 

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 ちなみに、ダイアナはジェリーと良い感じになりますが、ジェリーは純粋ではありますが、学校にも行っていないので知識が豊富ではありません。それで、結局うまくいかないという悲しい結末?に。