Nayunayu先生 ~愛のある教室~

現場教師の24年間の実践理論

若者の○○離れ問題

○○離れ

 自分はいつまでも若者であると思っていましたが、「若者は…」と言ったその瞬間から、もう自分は若者ではないと宣言しているのでしょう。自分の感覚と違う世代が社会に影響力を与えてきていると認めざるを得ません。自分とは違う感覚の世代を理解しようと決めた瞬間から、社会全体が見えてきます。 

 

若者だったころ

 今から20年以上も前、私も正真正銘、誰がどう見ても若者だったころがあります。大学生だった私はオートバイに乗って、ツーリングを楽しんでいました。北海道の旭川市にある「オートランド旭川」というバイク屋を拠点とさせていただき、ふらりと遊びに行くことも多々ありました。そして、オーナーのタカさんと、サブオーナーのカズミさんにお世話になり、大人の会話というものにも参加させてもらっていました。

 

 最近の若者はバイクに乗らなくなってきましたよ。君たちの世代は多いけど、その下が続かない…。と、タカさんは言っていました。「若者のバイク離れ」の序章です。

 

 あれから20年以上が過ぎ去りました。ツーリングをし続けて感じるのは、観光地で若者の姿を見なくなったことと、ドライブインの消滅と、ライダーの高齢化です。

 特に「若者の観光地離れ」は深刻で、15年ぶりに行った青森県の十和田湖では、観光物産展の半分が廃業し、観光客の8割ぐらいは中国語を話し、「幻の魚」と謳った「鮎の串焼き」が、幻とはいったい何なのだろうというぐらい大量に売られていました。

 

 

若者の○○離れ

 最近の若者は……と言えば、やや批判めいた論調になってしまいがちですが、それはあくまで自分の世界観で見ているだけなのですから、もっと詳しく知る必要があるのではないだろうかと思い、インターネットで調べてみました。

 すると、ものすごい数の「若者の○○離れ」の内容が出てきて、「ああ、そうだね。これもそうだ。そう言われたらこれもそうだったね。」と妙に納得してしまいました。「そこは離れないで」と思う内容や、「それは離れて良かったんじゃないかな?」と思えることまで、多種多様です。

 

 私が個人的に興味があった「○○離れ」を20事例紹介します。

 ※調べたら100以上はありました。

 

「そこは離れないで」と思った「若者の○○離れ」7選

①活字離れ

②映画離れ

③恋愛離れ

④新聞離れ

⑤旅行・旅離れ

⑥バイク離れ

⑦車離れ

 上記を離れるということは、人の成長のチャンスからも離れるということではないかと思うわけです。⑦の車離れは、直接関係ないように思えるかもしれませんが、実はかなり関係あります。車は見栄の世界です。乗れれば良いという考えは、見栄を捨てるという一見良さそうにも思えるのですが、よく見られたいというエネルギーの消滅を言っているわけで、恋愛に直結し、旅行に直結し、経済に直結しています。

 

「それは離れていいでしょ」と思った「若者の○○離れ」5選 

⑧パチンコ離れ

⑨競馬離れ

⑩ブランド品離れ

⑪タバコ離れ

⑫テレビ離れ

  これは離れたことによって批難めいたことを言われる筋合いは1つもないのです。完全に趣味趣向のお話ですから、そもそもとやかく言われる筋合いのものではないのです。離れてもいいし、離れなくてもいい、その程度の話です。

 

「これは仕方ないだろうね」と思った「若者の○○離れ」8選

⑬近所付き合い離れ

⑭結婚式離れ

⑮商店街離れ

⑯ゴルフ離れ

⑰CD離れ

⑱ラジオ離れ

⑲お茶離れ

⑳漬け物離れ

 これらは、社会における自然の流れそのものなので、まあ、そうだろうねという内容になります。

 ⑬の近所付き合い離れとは、そもそも家同士の問題なので地域性があります。若い世代に無くなったのならば、それはその上の世代ですでに無くなっていたか、その良さが消滅しているか、若い世代にとって必要ないからのどれかでしょう。

 ⑭の結婚式や⑮の商店街、⑰のCDは、時代の変化の視点から当然の結果でしょう。何も不思議がる必要はありません。

 ⑯のゴルフ離れなんですが、これが微妙なんですよね。面白いらしいのですが、時間、場所、お金などなど、様々な制約があり、敷居がそもそも高い。

 ⑱のラジオはね、今勢いがあった方が不自然です。好きな人は好きでしょうけど、そもそも情報メディアが増えすぎたので、若者が離れたというよりは、世の中が離れたと言う方が正しいような気がします。

 ⑲のお茶と⑳の漬け物は、食文化のことを言っているわけです。漬け物、美味しいんですけどね、元々貧しい時代に作られたものですから、飽食日本社会では下火にはなるでしょう。

 

若者は離れていない

 若者になった元教え子(男性)と、もう若者ではなくなった私が、元教え子の親が経営している喫茶店で久しぶりに再会し、この「若者の○○離れ」について話す機会がありました。

 元教え子は、少し不満そうに言っていました。

「最近の若者は色々離れてるって言われて、確かにそれはしていないなと思うところはあるんですけど、知らないから離れたって言われても困るんですよ。そもそも近づいていないのだから。」

 

 私は元教え子の意見にすっかり納得してしまいました。離れるというのは、近づいたということが前提なのですから、近づいていないのなら、離れていないということも成り立ちます。

 

 そうです。若者は離れたわけではないのです。そもそも近づいてすらいないのです。そして、近づかないのは、近づかない理由がきちんとあるのですから、どうして近づかないのかを知ろうとしたとき、若者の世界観に触れることができます。それは社会全体を見る視野が広くなるので、若者に教えてもらうということが必要なのでしょう。